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「スター降臨、魂が宿る」

寝る場所もままならない。

収納場所がないぐらい、物で溢れ返っていた。

武史は、

買ったものを放置して、また買い物に出かける日々を過ごしていた。

「さてと、今日は何を買いに行こうかな」

物への執着心は人一倍強く、その癖、買ったら満足するタイプ。

今日はランニング用のジャージを、下北沢を歩きながら物色していた。

ふと目に止まった、黄色のツナギのようなジャージ。

これはまさかの、あの有名人が着用していたもののレプリカ。

そう、あの有名なアクションスター。

まさかこれを着て、トレーニングに出掛けるわけにはいかない。

でも、ずっと憧れていたアクションスターが着ていたもの。

武史は、悩みながらも購入することにした。

買って帰って、いつものように袋から出さないで放置しようと

思ったが、今日は着てみたくなった。

今着ている服を全部脱ぎ捨てて、3分も経たないうちに着替え終えた。

「おー!ピッタリフィット!」と言い、自己満足に浸っていた。

あのアクションスターと同じような動きをしながら、

部屋中に散らばっているものをお構いなしに、一人で暴れまくった。

一通り楽しんで陶酔し切った後、眠くなったのかそのまま眠ってしまった。

夢の中でも、自分がアクションスターになっているような気分だった。


いつも通り、目覚まし時計が鳴り響き目覚めると…

何故だか、身体中が痛い。筋肉といい関節といい、ズキズキと痛い。

腰も首も肩も、凝っているみたいだった。

部屋を見渡すと、何故だかすっかり綺麗になっていた。


あの憧れのアクションスターは、とても綺麗好きだった。

自分の身体を鍛えることで、自分を磨き、住む部屋を綺麗にすることに、

生き甲斐を感じるような生活を送っていた。


武史は、自分が部屋を片付けた記憶が全くなかった。

寝ている間に何が起こったのか、全くわからない。

暴れまくった後、半ば疲れ果てて眠ってしまったものだから…


着るものには、魂が宿ると聞いたことがある。

今着ている武志の服に、あのアクションスターの魂が宿ったのか、

定かではないが、隣人曰く夜中中、奇声が聞こえてきたとのこと。


武志は、あちこち痛い身体引きずりながら、

何とかジャージを脱いで、シャワーを浴びた。


(武志は、知る由もないことだが…)

(どこからやってきたのか…)


綺麗な部屋には、白いチャイナドレスを着た女性が三つ指を付いて

静かに座って待っていた。

側には、黄色いヌンチャクが置かれていた。



シャワーを浴びて出てきた武志が取った行動は、

ご想像にお任せいたします。


※この物語は、フィクションです。

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