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雲ばなれに月

風は強いのに
絶え間なく
流れても流れても
雲はひかりを隠す

冷たいものばかりで
でも
望むものはまだ
皆が普通に手にできている
暖かさだったりする

そんな帰り道の
雲の切れ間
見えるはずのない
小望月

形のない歌で朝を描いたまま
浅い浅い夏の向こうに
冷たくない君の手のひらが見えた
淡い空 明けの蛍

「夜明けと蛍」より

そんな月は
冷たくない君の手のひら
そう見えた



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