【一首一句 その一】ぐるぐる回る世界
【本日の一首】
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身一つはもとの身にして
【伊勢物語、第四段】
(解釈)
この月は、あの月ではないのか、昔私が見た月ではないのか。いや、昔の春とこの目に映る春は、全く同じものではないのか。ああ。
私のこの身は全く同じものなのに月は、春は、私の経験したかつてのものとは同じではないのか。
変わらぬものなどありはしないのか。それではこの私は。世界は。生きているとは。存在しているとは。
【本日の一句】
百年(ももとせ)の後も変はらぬ花椿【ノンタン】