ルックバック感想
アマプラにあったということで、見た。1回しか見てないのでうろ覚えの箇所もある。また、自分の解釈がかなり含まれる。拙い文ですが見てね。
終わってすぐはよくわからん、委ねすぎ?と思ったけどドアに4コマの切れ端が入って、そのあと斧の4コマが返ってくるシーンは藤野の頭の中の考えごとの比喩なのではないか、と思った。藤野が空手をしていた世界線は京本が部屋から出てこなかったという藤野の妄想の話で、その妄想の中での展開さえも最終的には頭の中で4コマ漫画に仕立て上げてしまった、ということを意識したことによって自分が漫画へのめり込むきっかけになった小学生の卒業式の日の京本の家での出来事を思い出して、京本の死を受け入れそれでもなお創作を続けていく、といった感じだろうか。
どういうことを考えたか詳しく説明する。まず前提に、漫画を描く姿を後ろから引きで部屋ごと映すとシーンが多かったのでもしかしたら漫画家にとっての書斎(自室?)を大事にする意識が作品全体にあったのかもしれないな、と思う。書斎は作品が生まれる場所であり、それは脳内でアイデアが生まれることと似た構造だ。書斎の中からドアを超えて出てきた4コマ漫画が外の藤野の心情に変化を起こしたのであり、それは頭の中で4コマ漫画を作ってしまったとということを自分で意識したことで藤野の心情に変化が起きたと解釈できそうである。頭の中が大事な空間であるドアの中に喩えられていたシーンなのかもしれない。
ただ、世界線を超えて神秘的なことが起こったと考えることもできると思う。大事な空間だからこそ超現実的な現象が起きて、別の世界線の京本が4コマを描いてくれたと考えることもできる。一時間だからこその説明しすぎない構造で解釈の余地が与えられていると感じた。見た直後は「?どういうことだ?」となったが意外にこう噛み砕いて考えてしまうと綺麗に完結したと言えるのかもしれない。
メインストーリーとは違う部分に抱いた感想としては、(箇条書きっぽくなります)
・こんな純粋な気持ちでただ惚れ込んだから、と言う理由で創作にのめり込んでいく人もいるんだろうな、と思った。
・背景が非常に写実的な割にキャラクターは精細ではなく京本の緻密な背景描写と藤野のコミカル(とは言わないが少しカジュアル)な絵柄が組み合わさっているようだと思った。
・京本に認められたあとの帰り道の藤野の小学生しかやらないような体の動きとかはリアルだった。藤野はカッコつけたがりで自分を上でありたいと思っているからこそ京本に絵で勝てないと思った時に折れてしまい、そんな京本に認められたからまた始める、というのが単純な小学生そのものだと思った。そこにお前の方が上手いくせに何がファンだ、と言う感情は意外と生まれないのも単純だと思った。
・京本が芸術大学に行くと言った時にいいよ、アシスタント雇えばいいし、でも私とじゃないと絶対つまんないよ、と言ったのは、京本が必要と分かっていながらも意地を張ってしまう藤野らしさが出ていた。
・京本が死んでシャークキックが連載終了になったことから、結局京本がアシスタントをしていたんだなと思う。
・小学生の頃の藤野の表情があんまり動かないのもすごく意地張ってるみたいだった。
・目の表現が淡白でハイライトが入ってないことがあって怖かった、どう言う感情なのだろうと考えてしまうような目のシーンが多かった。(京本の4コマを初めて見たシーンとか)が、意外に多分人間ってそんなに表情豊かではないと思うのでリアルだと思った。