日常の狂気 ~メサイアコンプレックス~
看護師さんたちやカウンセラーさんたちなど、同職者の友達はゼロではないが少ない。
何故ならば自分が知る限りの看護師さんやカウンセラーさんにはメサイアコンプレックスが重症化している人が多いから。
もちろん、全員じゃない。ただ純粋に多いと言うだけ。
メサイアコンプレックスというのは、日本語で言うとまんまなのだけど、救済者妄想ということ。
誰かの助けになりたい。困っている人を見捨てられず、つい手助けや支援をしてしまう。
そこまでは、とても素晴らしいこと。優しい人は大好きだ。
でも、人助けをする事にのめり込み相手の意見を無視した独りよがりな行動を取ってしまうようなありがた迷惑な人は優しいというよりはメサイアコンプレックスという症状が暴走しているだけ。こんなに支配的で乱暴なことってない。
こう書くと何だか特別な病気のことを書いているみたいだけど、結構普通にいらっしゃる。
特に日本だと自己犠牲をしてまで誰かや集団の為に尽くすことが美談とされているし、「ありがとう」なんて感謝されればわかりやすく嬉しい。
それは誰でも同じかも知れないが、同じ行為でもメサイアコンプレックスと呼ばれる方々の場合は、その行為の源となる動機が健全な人とは全然が違うため、相手に不気味な違和感を与えてしまう。
その動機の差とは
①自信が無いので相手から感謝される行動を常にしていなければ社会から受け入れられない、愛されないと感じている。
②自分自身の不幸から目をそらすために人を助け続けなければならないと思い込んでいる。
③人を助けることにアイデンティティを見出しているので、常に困った人や可哀そうな人を探している。そうでないと自分を保てない。
この方々は成功している人や幸せそうな人や自立した人と思う人には近づかないし興味がない。
私たちは多分自分の身の回りに容易にこんな人たちを見つけることができるかも知れない。
例えば、仕事で昇進したとか家を建てたとか、何かめでたいことがあったという話をしているときは目が虚ろだけど、何か困っているという話をすると、途端に目をランランと輝かせて興味を持つ人とか。ええ、何せ不幸な人を探しているのだから。
プライベートの交流でそんな側面を出してくる人もちょっと嫌だけど、100歩譲ってそれは良い。でも、カウンセラーとか医療従事者、介護、看護の人々はそれではまずい。
介護やら看護やら、あるいは何かしらのボランティアをする人でも良いのだけど、健全な人の場合はサポートする相手のことを見下げたり極端に「可哀そうな人」とは思わない。
必要なことをサポートして相手の成長や自立を心から喜ぶ。そして、必要な時期が来たらその関係性にきちんとお別れをする。むしろそれが信頼とも言える。
ところがメサコンが重症化した人や、自己愛性パーソナリティ障害に陥った人ともなると、自己実現のためにクライアントさんや患者さんを使っているので相手の幸せを願うことができないどころか、自立や成功の邪魔をする。
出身校によるとも思うが通常カウンセラーや看護師のスクールでは、とことん自分見つめをし、自分を知り自分を受け入れる勉強を真っ先にする。
そうすると間違っても上から目線で可哀そうな人探しなんてするはずがない。
誰か自分の理想像を投影できる人を見つけは異常に崇拝し、その人を真似て、弱者だと思う誰かに対して上から目線で威張るとか、そんな2パターンの行動で占められる人間性はできるはずがない。
それでも人間だから、プロのカウンセラーさんたちは教育分析というものを定期的に受ける。教育分析というのはカウンセラーがカウンセリングを受けてきちんと自分を見つめなおす時間を設けること。
あるいは、クライアントさんのお話を聴いて心が揺れ動けば、他のカウンセラーにスーパーバイズを乞う。
ところが、「自分は超越しているからそういうの必要ない。カウンセリングはやるけど、カウンセリングは受けたことない。」という人に沢山出くわす。まあ、それは、ラーメン食べたことないけど、日本一うまいラーメン作ってますって言っているようなものなのだけど。
自分のカウンセリングやセッションで、たくさんの人を救って来ました。」とか、「何をしても治らなかった症状が自分のセッションで治りました。」と豪語する人がいたら、怪しい。少なくともプロはドン引きする。えっっ?まだそんなこと思ってんの?!と。
何故ならカウンセリングやヒーリングのどんな手法のものでも、その人が自分の力を発揮することをサポートするもので、カウンセラーが代わりに考えたり救い上げたりするものではないと、きちんとその点を勉強して来てさえいれば身に染みて理解しているはずだから。
カウンセリングやヒーリングをした。その結果、誰かが元気になった。それはその人自身の力、その人自身の成長だから。
メサイアは必要ないが、しいて言えば、皆、どんな人でも、自分の心の中に救済者がいる。その自分だけの救済者と対話するためにカウンセラーやセラピストを使うのは有用かもしれない。
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