藤十郎を悼む

坂田藤十郎さんが死去、88歳
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=6306673

人間国宝坂田藤十郎さんが亡くなった。88歳。
[m:831]坂田藤十郎さん死去 88歳 人間国宝 上方歌舞伎の第一人者 | NHKニュース
【NHK】上方歌舞伎の第一人者として活躍した人間国宝で文化勲章を受章した歌舞伎俳優の坂田藤十郎さんが12日、老衰のため亡くなりまし…

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氏は扇千景の旦那・中村玉緒氏の兄。元鴈治郎。

https://youtu.be/uzXBGZXsWig

※ちなみに、上席で愛でる殿様(?)役は映画『座頭市物語』で飯岡の助五郎を演じた柳永二郎氏です。川口松太郎(いけいけ川口浩の父君)、水谷八重子らとともに新派の中興の祖。

https://youtu.be/bBJ67c9oD3g

至極自然な演技。幕末の侠客・飯岡の助五郎とはかくあったと思わせる、蓋し名演である。

しかして藤十郎さんが鴈治郎だったころ、俺はミナミの松竹座で観た。
先代萩。老女政岡の元鴈治郎は、若君謀殺の毒まんじゅうを我が息子が先んじて食し死んだ時

「でかしゃった、でかしゃったぁ」(でかした、でかした)

と彼を懐に抱き、賞賛のあられ。

その様は一見の芸ではなく、形と姿、台詞回し、全て完璧。なぜか。

音楽にせよ映画にせよ、その場でショックを受けるものは大概長続きしない。イーディス・ワートンの怪奇小説じゃないけれど「あとになって」こそ、長く心に残るもの。
藤十郎氏の先代萩は、その場では衝撃をさほど衝撃を受けなかった。ところが、日を追うにつれ、どんどん感動が深まっていった。そんな経験は初めてだった。

ここの拙プロフィールに挙げているとおり、宝塚や劇団四季、音楽座を含めても、鴈治郎の「伽羅先代萩」こそ史上ベストである。俺にとっては。

https://ja.wikipedia.org/wiki/伽羅先代萩

演劇は、日本文化は奥深い。氏は女形だが、腰の使い方足の使い方ひとつで、同じ扮装でも一瞬で男に変わり、女に戻る。
氏のご逝去を機に、できる限り歌舞伎を能を、あるいは日本舞踊を見てください。そうしたら、

本物

がわかるから。

逆にいえば、政治家でも何でも「偽物」がわかります。顔を見ただけで。

藤十郎さんは亡くなる間際まで「南座の楽屋入りだ、御園座の楽屋入りだ、早く行かねば」とうわ言を。

https://youtu.be/2fRkrguSaBs

山城屋さん、ありがとうございました。万歳。

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