【美術館と建築】屋内も屋外も。 海、山、空に溶け込む美術館。|下瀬美術館
今年3月に、広島県大竹市にオープンした下瀬美術館。建築家・坂茂さんの手掛けたその建築がとても印象的な美術館でした。実際に行ってみてオススメしたいと思ったポイントをご紹介します。
▍自然の風景に溶け込む建物
入り口から歩行者用通路を通っていくと現れる美術館。その建物は、全面鏡張りになっています。
青空や周りの山々を移し込み、風景と一体化するような建物。その中に入ると、その先には、全面ガラス張りのように、建物の奥に瀬戸内海の海と島々の風景が広がります。
屋内外を出入りして気づいたのですが、この建物の外壁の多くは、ハーフミラーで作られている様子。明るい外から見た時には周囲の風景を移し込んで風景に溶け込んでいます。
一方、内側から外を見たときにはまるで建物の壁面がなく、屋外とそのまま繋がっているかのように見えるんです。
「風景に溶け込む美術館」といえば、直島にある安藤忠雄さんの手掛けた「地中美術館」が有名ですよね。地中美術館は、島の美しい景観を損なわないよう、建物のを地下に埋設するつくりになっています。
一方、こちらの下瀬美術館は、隠すのではなく、自然の中に溶け込んでしまうように作られているのが素敵でした。
▍自然の力を活用?組み替え可能な可動式展示室
企画展示棟の外に出て、なだらかな坂をのぼっていくと…
そこに見えるのは一面の海景。建物の屋上、望洋テラスから見えるのは、宮島、阿多田島、江田島といった瀬戸内の多島美の風景です。
さらに、眼下の水盤には、8色のカラフルな箱状の建物が見えます。
この箱状の建物は、「可動展示室」。水盤の水位を増やすことで、浮力で展示室が浮かび上がり、船のように浮いて組み替えができるそうです。展覧会の内容にあわせて、大きな力を使わずに7つのパターンに配置変更できるのだとか。
でも、展示室の中からは通常の美術館の展示室と大きく違った様子には見えず、組み替え可能な特別な形状には見えないのが不思議です。
▍「エミール・ガレの庭」で四季折々の植物も楽しめる
展示室を通り過ぎ屋外に出ると、「エミール・ガレの庭」。
同美術館のコレクションの作品として、エミール・ガレの硝子の作品が複数所蔵されており、(コレクション作品は撮影可ですが、SNS公開は不可でした。)そのガレの作品に登場する草花を中心とした庭園がつくられています。
庭園の中には池もあり、たくさんの花々に、昆虫も。花でいっぱいの庭の背景には、海の風景が広がっているのも不思議な感覚です。
この下瀬美術館の中には、木立に囲まれた「森のヴィラ」と、水盤に面した「水辺のヴィラ」という2つのエリアがあり、そこには、やはり坂茂さんの手掛けた作品である10棟の宿泊棟も。宿泊料はなかなかのお値段ですが・・・いつかヴィラにも泊まってみたいなと思う建築でした。
周囲の風景と調和した建築の美しい下瀬美術館。美術館の作品はもちろん、建築だけでも楽しめる素敵な美術館でした。
補足:アクセスについて
こちらの美術館、自家用車で行かない場合にはなかなかアクセスしづらい美術館でもありました。JR大竹駅からは、40-55分間隔で直通のシャトルバスが運行されていますので、こちらに乗車すると確実です。
また、JR玖波駅・大竹駅からバスを利用して公式サイトに記載されているとおり「ゆめタウン」で下車し、google mapに従って歩いて行くと…
美術館のある場所に大きなコメリしか見えないので、結構焦りました… コメリの南側にまわり、公演を横目に、徒歩通路を歩いて行くとたどり着きます。
【美術館概要】 下瀬美術館
公式web:https://simose-museum.jp/
開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝休日の場合は開館)、年末年始、展示替え期間
所在地:〒739-0622
広島県大竹市晴海2丁目10-50
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