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大正時代の身の上相談

"本書を読むと、大正人の純情さと、また一方で現代の悩みのほとんどがすでに登場している事実に驚かれることと思う。"1994年発刊の本書は1914年〜1922年発刊の読売新聞に切実に寄せられた当時の悩み相談記事を抜粋、相談への記者回答、さらに回答に対する現代からのコメントを追加した【読みやすくもメタ的に楽しめる】一冊。

個人的に文化芸術を趣味的にかじっている事もあり、何となく日本の各時代における風俗や大衆文化を紹介する本は手にとってしまうのですが。そんな流れで偶然出会った本書。新かなに直してくれている事もあり気軽に読み進める事が出来ました。

さて、そんな本書は、大正時代に新聞紙上で129人が相談した悩み相談を『清ク正シキ乙女ノ困惑』『アドケナキ少年ノ苦悩』『結婚シナイカモシレナイ女ノ問題』『"バツイチ"ノ戸惑イ』など18章に分類して紹介しているのですが。当時、理想と喧伝された【都市型文化生活、自由・個性の尊重、科学的合理精神】と現実のギャップに思い悩むも今みたいにSNSやWEBで【気軽に発信し相談できる場所がない】ご先祖様の苦悩が草の根的に【時代の空気感を感じさせてくれて】興味深かった。

また、17才にして和製リンドバーグ?『女飛行家になりたい』と相談する乙女や、21才で『酒もタバコも口にせず童貞なので声楽家になれますか?』といった寄せられるカオスな質問に対して、時に厳しくたしなめ、あるいは優しく応援するような回答をしている記者コメントはなかなかに【本質をついていて舌鋒鋭く】なぜか『生協の白石さん』を彷彿とさせられて感心しました。

大正時代の文化風俗を楽しく追体験したい誰か。あるいは当時のご先祖さまの悩みにに我が身を重ねて励まされたい誰かにもオススメ。

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