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二十歳の原点序章

"話の中心でありたい 行動の中心でありたい みんなより優れた存在でありたい みんなからほめそやされたい 私は十九歳!気が小さくて臆病ものの私はジンセイケイケンがタリナカッタのかしら"1974年発刊の本書は高校3年から大学2年まで。20歳までの求め、独り悩む。心の動きを記した日記。

個人的には学生運動が盛んだった1960年代末期を代表する作品として映画化、漫画化もされた『二十歳の原点』に以前、非常な共感を覚えたことから、その前日譚ともいえる本書も手にとりました。

さて、そんな本書は"独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である"と立命館大学の2年生として20歳の誕生日を迎えた1969年から始まり大学3年生での自殺2日前まで続く日記にして著書死後のベストセラー『二十歳の原点』以前。栃木県で受験を控えた高校3年から大学に無事に合格して大学2年になるまでの【何者かになりたくもなれない】著書の悩みが等身大に綴られているのですが。

率直に言えば、故人が【内緒にしている日記を覗き見している】ような野次馬根性が私にあるのも否定できなくも、しかし。それを置いても同じく京都で何十年前に学生生活を自堕落に過ごした身としては、時代は違っても著書が若者、学生としての時間の大切さを自覚するも酒やタバコに【逃げてはモヤモヤし続ける姿】には前作と同じく強い共感を覚えました。

またネットやSNSで(鍵垢や公開設定といった使い方はさておき)原則として【一瞬にして他人の目に晒される】のを十分に意識して『日記』を書くのがリテラシー的に当たり前になっている現在(時代柄、商業出版にあたり"編集者の関与"があったかもしれなくも)著書の【他人の目に触れさせず、自分に嘘をつかず向き合った】『日記』に記された"言葉の数々"はどこかハッとさせられる清洌さを与えてくれました。

京都で学生生活を過ごす、かって過ごした方へ。また学生運動が盛んだった当時の若者たちの姿を知りたい方にもオススメ。

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