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婆娑羅大名 佐々木道誉

"道誉に象徴される婆娑羅とは、単なる乱暴者の所業をいうのではない(中略)婆娑羅の内実は、能狂言から茶の湯、立花、聞香、連歌にまで及ぶ、幅広い文化の享受者であり、庇護者であり、指導者でもあった"2021年発刊の本書は婆娑羅大名、佐々木道誉の生涯から日本の美意識源流を探った一冊。

個人的には足利幕府草創期の重臣であると共に、婆娑羅大名として『太平記』でも描かれる佐々木道誉について。あまり詳しくなかった事から本書を手に取りました。

さて、そんな本書は元編集者にして、現在は空手道連盟の副会長もつとめる著者が、佐々木道誉の生きた時代背景と出自についての概略を一章、二章紹介した後、いよいよ三章で【婆娑羅とは何か?また婆娑羅大名としての道誉の有名なエピソードに触れた後】続く四章から終わりにかけては、婆娑羅以降の継承として『傾奇者』また共通する美意識として『ダンディズム』をあげているわけですが。

まず、『平家物語』や『太平記』はもちろん、様々な資料からの豊富な引用が多いのは【全体的な把握】には良かったのですが。専ら私の勉強不足が原因とは言え、シンプルに『佐々木道誉だけ』をわかりやすく知りたかった私には【少し冗長というか回りくどい】印象を受けてしまいました。

一方で、それでも。日本美術史を人前で話す時にいつも、室町時代以降、今にも繋がる【日本人の美意識】を紹介する際に何度も佐々木道誉を例に出してきた立場としては、やはりさらに【周辺理解、文脈的理解が深まった】ことは良かったように思いました。

佐々木道誉ファンはもちろん、歴史好きな方にオススメ。

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