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ZOKU

"『役に立ちたくない。見返りがほしくない。何かを得たいとも思わない。なにかそういった、どうしようもなく融通の利かないものはないかね?』"2003年発刊の本書は、悪戯NPO団体ZOKUと科学技術禁欲研究所TAIの秘密裏でささやかな暗闘を描いた痛快シリーズ第1作目。

個人的には『すべてがFになる』『スカイクロラ』などで知られる著者が"こんな作品も描いているのか!"と興味を持って手にとりました。

さて、そんな本書は【犯罪未満の壮大な悪戯を目的とする】非営利団体、ZOKUのボス、黒古葉善蔵と、その幼なじみの名門財閥の嫡男にして、化学技術禁欲研究所、TAIの所長の木曽川大安が、それぞれ【残りの人生をエンジョイするかのように】ジャンボジェットや機関車を飛ばしたり走らせたりしながら各章毎に、あちこちで振動を起こしたり、折り紙や竹細工であったりする無害に見えるゴミをばらまいたり。といった悪戯を互いに部下や孫娘を巻き込みながら【悪?と正義?の攻防を繰り広げる】わけですが。

まるで○イムボカンシリーズ?といった感じの【SFギャグアクションの懐かしさやお約束を端々に感じさせたり】また一応は互いに対立しているものの、実はジキルとハイドのような相互依存関係である様子が明らかにされたりといった【エンドレス感覚が何とも独特】で、物語に勧善懲悪や起承転結を求めて手にとる人は拍子抜けするんじゃないかな?とも思いました。

一方で、登場人物はそれぞれに魅力的で。特に、【まるで○ロンジョ様?】といった感じの『艶のある黒い革の上下に黒いマント。胸元が大きく開いている』"フレディ・マーキュリィ"みたいな衣装で頑張るロミ・品川の姿が【揺れる乙女心も含めて】可愛くて気に入りました。(著者も特に思い入れこめてノリノリで書いている気すらしますが。。)

大人になっても悪戯好きな誰かへ、ミステリともシリアスSFでもない著者作に興味ある人にもオススメ。

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