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社会契約論

"人間は自由なものとして生まれたのに、いたるところで鎖につながれている。自分が他人の主人であると思っているようなものも、実はその人々以上にドレイなのだ。"1762年発刊の本書は、共同の為の意志『一般意志』徹底した人民主権を説き、フランス革命の導火線となった歴史的名著。

個人的には本書に繋がる、自由で平等な『自然状態』から文明社会移行により財産の不平等が発生するとする『不平等起源論』を先に読んでいたことから、続篇的に手にとってみました。

さて、そんな本書は当時主流であった絶対王政『王権神授説』を冒頭で牽制しつつ、本来なら【自由と平等の中で生まれてきた】自然状態の人間が、文明の発達にしたがって社会契約を結んだことで【不平等を招いた】と批判しながら、それでも人民の中にある(最大公約数ではない)個人及び集団としての意志を同時に尊重する市民社会の公的意志『一般意志』に基づけば【人民主権による理想的な国家が運営できる】と立法や政治形態、古代ローマ社会や宗教を引き合いに出しつつ説いているわけですが。

本書が全体主義やファシズムに繋がった的な批判もあったとしても、考えの前提となる人に対する【絶対的な性善説とも言える】著者の捉え方にはやはり共感してしまいます。

また、本書などの出版により著者自身は当然の様に絶対王政下の特権やカトリック体制を否定したとされて、焚書や逮捕状による逃亡生活といった弾圧を受けてしまうのですが。死後にこの本がカントなどの哲学者、フランス革命に影響を与えた事実を知ると【歴史の1ページに触れたような】何とも言えない感慨があったりします。

民主主義や政治体制について原点から考えたい方へ、教科書ではわからない当時の雰囲気をつかみたい方にもオススメ。

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