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天災から日本史を読みなおす
"本書は、地震や津波ではなく、人間を主人公として書かれた防災史の書物である"2014年発刊の本書は、専門家による丁寧な文献調査により、自然災害に直面した戦国武将の振る舞いや、浮かび上がってくる庶民の暮らしや教訓が、時代を超えた物語として活き活きと伝わってきて興味深い一冊。
個人的には、防災関係の本を探す中で、地震や津波そのものではなく『人間を主人公として』という解説に歴史好きというのも加わって本書を手にとりました。
そんな本書は『武士の家計簿』でも知られる著者が、朝日新聞で『磯田道史の備える歴史学』として連載していたものを書籍化しているわけですが。天正地震を前に戦国大名たち、例えば山内一豊はどう対処したのか?とか。伏見地震への対応の拙さが秀吉の求心力を低下させた!とか、佐賀県を襲った巨大台風が、結果として幕末の軍事大国、佐賀藩を生んだ!などのエピソードはなかなか【ダイナミックな視点】で歴史雑学としても面白かったです。
一方で、宝永地震による富士山噴火の江戸庶民の記録や、武士や僧侶の証言記録などの紹介には、この国の【災害大国としての姿】がリアリティをもって伝わってきて、警戒されている南海トラフ地震への心構えをあらためて考えさせられました。
歴史雑学好きで防災に関心ある誰かに、オススメ。