野の医者は笑う
"やっぱりそうだったのだ。そもそも何が治療なのかが治療法によって違うのだ。癒しはひとつではない。"2015年発刊の本書は、臨床心理士が沖縄を舞台にして野巫(やぶ)医者"野の医者"達、怪しく感じてしまうヒーラー達と出会って『心の治療とは何か』をあらためて考えた刺激に満ちた一冊。
個人的には著者の『居るのはつらいよ』を最近読んで大変に面白かったので、本書についても手にとってみました。
さて、そんな本書はトヨタ財団の助成を得た著者が、研究者としてNLP、コーチング、マヤ暦、オーラソーマ、アロマ、マインドブロックバスター、人材開発、内観療法、占い師とか。すいません。全く『そっち関係』に関心がない私にとっては列記するだけでお腹一杯になる【癒しに関わっているも、医学外に置かれている】ヒーラー達を『野の医者』と定義して、果敢に【体験と取材を積極的、フラットに重ねていく】日々が書かれているわけですが。
流石に仮に興味があっても、あえて自ら踏み出すには腰がひけてしまうスピリチュアルな世界。【傷に向き合うのではなく、一つの生き方を新しく与える世界】をコミカルに垣間見せてくれて、確かに【治療や癒しが一つではない】ことを追体験的に理解できた気がします。
また、時間軸的に『居るのはつらいよ』と同時進行で重なっている事もあり、名前こそ違えど重なって登場する人物たちとのエピソードも楽しく、『居るのはつらいよ』のB面的な眺め方も出来て楽しかったです。
【心の治療とは?】を考えたい方や、街中に溢れるヒーラ達の世界をちょっと覗きたい方にもオススメ。