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まあだかい

"この糞じじい、まだ生きているかと云うのが今晩の摩阿陀会です。まアだかいとお聞きになるから、私はまアだだよ、とこうして出てまいったわけであります。"1993年に編集発刊された本書は、著者とかっての学生たちの交流の場、摩阿陀会の20年の様子を集めたアンソロジーとして、古き良き師弟間の繋がりが心地よくあたたかい。

個人的には、幻想的な文章と諧謔精神にすっかり著者にはまって、猫に列車と何冊も手にとってきたのですが。今回は黒澤明監督の遺作にして『まあだだよ』として映画化もされた摩阿陀会の様子が知りたくて本書を手にとりました。

そんな本書は、いつもの金策"錬金術"話ではなく、還暦を過ぎた著者をかっての学生たちが囲んで、毎年一回の誕生日に大宴会を開催してきた様子が第1回から最後まで収録されているわけですが。著者自身による毎回の【おもしろおかしな挨拶】は言わずもがな、ですが。本人もいるのに【葬式の予行演習をしたり】"未だ百間は死なざるや 未だ百間は死なざるや"と大合唱して騒ぐ学生たちにも負けず劣らずなユーモアがあって、何だか息苦しく冷たさを増す現在と比較して【失われた古き良き師弟関係】に癒されました。

また、人生の午後。後半戦を迎えた私としては、やはり自分と重ね合わせて著者を考えてしまうのですが。先生時代は意外にも?厳しかったらしいのですが、それでも定年はおろか還暦を越えて【20年間も学生たちに呼んでもらえる】って嬉しかっただろうなあ。とか、また本書の後半にいたって足は衰え、体調を崩しても【それでも】と何とか参加しようとしたり、叶わずともせめて声だけでも届けようとテープに吹き込む姿には不覚にも涙を覚えてしまいました。人生の最期は決して思う通りにいかないものだとしても、著者のように【叶わずとも在りたい】と強く思わされます。

著者のファンはもちろん、サークルや部活などのつながりで集まる機会のある誰かへ、また人生の午後世代全ての人にもオススメ。

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