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いなくなれ、群青

"これでいいんだ。これが最良なんだ。なのに胸がずきずきと痛む。頭を振って、あの夜空を忘れようとする。いなくなれ群青、と囁く。"2014年発刊の本書は、階段島シリーズ1作目にして、大学読書人大賞受賞や映画化他のメディアミックス展開している"まっすぐに胸に迫る"青春ミステリ小説。

個人的には映画化された時に名前は知っていたのですが。参加した読書会で、複数の方にすすめられた事もあり手にとってみました。

さて、そんな本書は外界から奇妙に隔絶され、一方で安定した、主人公を含む"捨てられた"人間たち約2000人が暮らしている【階段島】を舞台に、何もかもがまっすぐな幼馴染との再会から動きだした物語が3話で繰り広げられているわけですが。

最初に気になったのは(本筋とずれて恐縮ですが)グーグルマップにも表示されないらしい島なのに、Amazonでの【ネット通販はちゃんと届く】という設定でした。異世界転生話でも利用可能な事も多いし、もうどれだけ無敵なんだAmazon。。

閑話休題。さておき、本書は表紙の越島はぐのイラストから予想されるように、学生から社会人、大人になる中で【誰もが経験する失った自分】を繊細に、冒頭の"100万回生きた猫"との会話から始まり最後までミステリアスに描いているのですが。

シリーズものなので仕方ないのですが、本書でせっかく登場した人物たちは【意味深なままで明らかにされない】のには多少不満がありましたが、幼馴染との関係性に焦点を絞って【恋愛小説としてはうまくまとまっている】ように感じました。多感な大学生、20代くらいだと、確かにこれは刺さるのだろうなあ。と汚れちまった悲しみに。。と遠い自分を思い返す読後感。

純愛小説、ミステリ好きな方へ、オススメ。

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