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持続可能な魂の利用

"自分たちの姿が『おじさん』の目に映らない、という現実は、少女たちの生活に大きな変化を及ぼした(中略)それは自由だった。"2020年発刊の本書は、時代の閉塞感を、差別的、権威主義的な『おじさん』男社会に対する女性たちのレジスタンス物語として戯曲的、啓発的に描いた刺激的な一冊。

個人的には、参加した読書会ですすめられ、著者の本としては初めて手にとりました。

さて、そんな本書は派遣先でセクハラ被害を訴えたら、逆に加害者扱いをされ会社を退職せざるを得なかった30代無職の敬子を中心に進み、彼女がいつしか【男社会の闇には苦しむも、心は裏腹に男達が演出する】"社会への抗議を歌うアイドルグループ"センターのXX(名前は伏せられていますが、イメージは確実に某欅坂46センターだったあの人ですね)に魅せられた事が、遂には革命まで繋がっていくのですが。

テンポよく読みやすくも【『おじさん』男性中心社会のために!と日々生きづらさを感じている】若い女性たちの【抑圧された本音を代弁し、共感を呼ぶ様な爽快なセリフ】が『AKBグループ』『オタ活』『派遣切り』『フェミニズム』『セクシャルマイノリティ』などの時代の空気感をうまく取り入れながら散りばめられている事から、展開的にはファンタジーであったとしても『現実的』で【苦しんでいる人に寄り添い、啓発してくれる】一冊だと感じました。

一方で、あくまで男性。そして年を重ねたという意味での『おっさん』としての私的意見ですが。AKBグループにも【特別な関心もなく】また女性の多い組織やグループに所属したり、関わっている事から必然的マイノリティとして女性たちの前では"臭い、キモい、ウザい"自らの立場を自覚して【生まれたての子鹿の様にプルプル怯える】毎日を過ごしている立場としては、この国を覆う問題の全責任が差別的、権威的な『おっさん』達のせいである。とするのは少し短絡的で、また【新たな分断を生むだけではないか?】と不安になってしまいました。

日本社会で生きづらさを感じている女性や、女性達がどんな事にストレスを感じているのか理解に努めたいと思っている人へ。また某欅坂46好きな方にもやっぱりオススメ。

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