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「可能世界のなかで最善である」世界に生きる【本:幸福学】

懐かしの、帰国からの隔離生活明けに初めて訪れた本屋で購入した本。ハーバード・ビジネス・レビュー編集の幸福学。

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知識から感情的知性の時代へ

ハーバードビジネスレビュー
EI (Emotional Intelligence) シリーズ
Happiness 

幸福学(Well-being Study)の研究は近年世界的に盛んになっており、心理学のみならず、経営学、経済学などの学会でも盛んに議論されている。

幸福学研究成果
幸せな従業員は、不幸せな従業員よりも、創造性が3倍高く、生産性が30%高く、欠勤率が低く、離婚率が低く、組織を助け、外交的で、知的で、創造的で、情緒が安定し、健康であり、長寿でもある

長期スパンで利他的な幸せに着目する傾向がある
個人としての独立を重視するか、集団としての秩序を重視するか
ただすべての国が西洋と東洋にきれいに分けられるわけではない

国連の『世界幸福度調査』
比較研究要注意、文化差にも十分配慮する必要性
アメリカの行き過ぎたハピネス推進に懐疑的である

みんなのために、ときに自分らしさを押し殺して我慢しているとしたら、それは集団主義の弊害であろう。しかし、みんなのためのことを普通に考える穏やかな利他主義を内包する点は、集団主義の優れた点である

感情、思考、行動の間には、神経学的に明白なつながりがある

人は、何が自分を幸福にするのか、またその幸福がどのくらい続くのかを予測することが、あまり得意ではない。ポジティブな出来事は実際以上に自分を幸せにするだろうと予想し、ネガティブな出来事は実際以上に自分を不幸にするだろうと予想してしまう

「可能世界のなかで最善である」世界に生きる

組織市民行動(組織への自発的で無償の貢献行動)

創造性と生産性
個人主義と集団主義の狭間

個人主義:個人としての独立を重視するか
集団主義:集団としての秩序を重視するか
これにより、判断が異なる

一部の研究によれば、幸福度が大きすぎると、創造性が低下することがある。また、リスクの高い行動に走りかねない。(恋に落ちた人が、いかに愚かに振る舞うかを考えてみればよい)

インタビュー対象者のほぼ全員が、職場で十分にエンゲージメントと幸福感を得るためにほしいものとして、以下の3つを挙げている

1.将来に向けた有意義な展望
将来を見通し、自分がそこにどう適合するのか知りたいと望む
人が学習し、自分を変えるのは、個人的な展望と組織の展望が結びついているとき。不幸なことに、あまりに多くのリーダーが、説得力のある将来展望を描かず、それを従業員の個人的な展望と結びつけようとせず、しっかり伝えてもない。

2.意義のある目的
人々は、自分の仕事は重要であると感じたい。自分の貢献が、非常に大事な何かを実現する後押しになっていると思いたい。

3.素晴らしい人間関係
緊密で信頼と支え合いに基づく人間関係は、自分の精神状態とチームへの貢献意図を大きく左右する

職場での自分の価値観に合った働き方、そして素晴らしい人間関係の築き方を見出すのは、個々人がやるべきことだ。そして、リーダーの役割は、従業員が活躍できる環境をつくることである。

幸福に関する研究が、この20年でホットな話題になっているのは、幸福の性質を解明する最新手法として科学を組み合わせられることに私たちが気づいたのがつい最近のことだから。数十年前までは、幸福は、主に哲学者や詩人が取り上げるテーマだったから。

心理学者
人が何を感じるのかを理解すること
経済学者
人が何に価値を置くかを知ること
神経科学者
人の頭脳がどのように報酬に対応するかを理解すること

幸福に関する論文が『サイエンス』誌に載る
幸福を研究する学者がノーベル賞を受賞する
世界中の政府が国民の幸福度を測定し、その値を高める方法を解明する

結局、人は何が自分を幸福にするのか、またその幸福がどのくらい続くのかを予測することが、あまり得意ではない。ポジティブな出来事は実際以上に自分を幸せにするだろうと予想し、ネガティブな出来事は実際以上に自分を不幸にするだろうと予想してしまう。どのような出来事でも、幸福感に一過性の影響しか与えない

意欲、愛着、一体感、感情、思考、行動

「可能世界のなかで、最善である」生き方

人は、飽きることをすごく嫌う

「適度に挑戦しがいがある時、困難ではあるが、手の届かなくもない目標を達成しようとしているときに、人は最も幸福であることがわかっている」

人は、挑戦を受ければ活気づき、脅かされれば委縮する

誰かの幸福度を予測したいのなら、その人の性別、宗教、健康、所得を知る必要はありません。私が知りたいのは人間関係、すなわち、その人の友人や家族、そして彼らとの絆の強さです。

組織への忠誠心
挑戦は、人々を幸福にする

幸福の要因に関する科学的な、
文献のすべてを一言で要約するなら、それは「社会性」

些細なことの喜びが毎日数十回起こる人は、
驚くほど素晴らしいことが1回だけ起こる人よりも幸せである可能性が高い

・何を行っているにせよ、心が定まらない時には、集中している時よりも、はるかに幸福度は低くなる。
・従業員の心は、マネージャーが想像する以上に、ほかのことに逸れている。それは、就業時間の約50%以上に上り、ほぼ必ず個人的な関心事へと脱線している。

幸福は、無数の小さな出来事の総和
どうすれば体重が減るかは、私たちはきっと知っている
幸福も同じ

・瞑想する、運動する、十分な睡眠を取る
・利他主義を実践する(他人を助けることは、自分にできる最も利己的なこと)
・人脈を広げること。週2回、感謝したいことを3つ書き出し、その理由を誰かに話すこと。どのような人が幸福かと聞くのではなく、どのような時に幸せかと聞けるようになった。

子どものいる人のほうが幸せだ、子どものいない人のほうが幸せだ、と言ったところで意味はないのです。どちらのグループもある面では他のグループよりも幸福であり、それ以外の面では幸福ではありません。こんな大まかに幸福像を描くことはやめる必要があります。

通勤、通学は心が彷徨っている量が60%、集中しているときよりも幸福度が低くなる

研究:幸福研究 マシュー・キリングワークス
お喋り、運動、食事、料理、徒歩、散歩、読書

職場における幸福もまた、高い給料や肩書きなど幸福を促進すると考えられてきた固定的な状態よりも、一瞬ごとの経験、例えば、同僚とのいつもの会話、携わっているプロジェクト、日々の貢献などによって大きく左右される可能性がある

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”Happiness isn't the absence of negative feelings”

様々な研究論文に繰り返し現れるテーマ:感謝

ポップカルチャーやメディアを通じて、幸福が単純化されてしまっていることにある。単純化によって、証明されていない重要なものが切り捨てられている。プラス・マイナスの感情、モチベーション、マネジメント行動を日誌に。

幸福についての誤解の一つは、いつも容器で、喜び、満足しているのが幸福な人だという考えです。いつも笑顔でいる人が幸福な人だと考えられているのです。でも、そんなことはありません。悪い事態のなかに良いことを見出し、悪い事態を別の見方で見るような生き方によって実現するのが幸せで豊かな人生だと思うのです。

ワークライフバランスの見本となり、プライベートを重んじる社員たちの不安を和らげるのに大いに貢献した上司。求められるのは、広い心で権限委譲を進め、自ら企業文化を培うリーダー

ショーン・アコル
「ポジティブ・インテリジェンス」という論文を発表
「幸福ビジネスが犯している最大の考え違いは、幸福を手段ではなく目的にして、望みのものを得たら幸せになれると考えていることだ。しかし実際の脳の働きは逆で、目標を達成してしまうと幸福感が低減することが判明している」

自分は何をしている時がいちばん幸せかを発見し、その活動に定期的に関わることで、私たちは充実した人生を送ることができる。

言い換えれば、幸福を追い求めている限り、幸せになれないということだ。幸せになれるのは、幸せになりたいという思いを忘れている時だ。やりがいのある仕事に没頭して、その瞬間を楽しんでいる時、高い目標を目指して努力している時、助けを必要としている人のために働いている時、私たちは最高の幸せを感じることができる。

メンタルや感情を整えるためのエクササイズのポイントは、無理やり笑顔をつくることでも、問題が消え去ることを願うことでもなく、ストレスの原因をより弾力的に扱う方法を学ぶところにある。

社会にとっての重要性がそこまで高くない、仕事でも、働き手にとって重要な何か、もしくは誰かに価値を提供することができれば十分意義がある。

成功している社員の2つの特徴
1.活力をみなぎらせている。生きているという実感と情熱にあふれ、胸を高鳴らせている。会社を活性化させるには、「自分たちの日々の仕事が大きな変化を引き起こす」という意識を社員に植えつければよい。
2.たゆまぬ学習。新しい知識や技能を身につけ成長していくのだ。
2つは車の両輪のようなもの。新しいことを学ぶと、その時は仕事に弾みがつくだろうが、情熱が伴わないとやがて燃え尽きるおそれがある。

最も重要なのは「有意義な仕事の進歩を図る」こと

・判断の裁量を与える(例:サウスウエスト航空)
・情報を共有する
・ぞんざいな扱いを極力なくす
・成果についてフィードバックを行う

サウスウエスト航空は、笑いやもてなしを大切にする企業文化で有名
ほとんどの客室乗務員が、熱心に歌い、ジョークを放ち、ことあるごとに乗客を楽しませようとする

マネージャー層にとっての課題は、たとえ誰かがミスをしても、権限委譲の流れを押しとどめないようにすること。失敗は絶好の学びの機会である。

散歩、サイクリング、昼食・・・

成功するための個人戦略
1.休憩を挟む
2.より意義のある仕事をする
3.イノベーションと学習の機会を探す
4.元気の出る人間関係を大切にする
5.社外活動への波及効果に目を向ける

良好な人間関係を築くために、会議の冒頭で必ず明るい知らせを伝えたり、感謝の言葉を述べている。

ある領域で順調だと他の領域ではうまくいかない、などということはない。仕事に意欲満々な人は、仕事以外のことにも意欲を持つ。ボランティア、レース出場に向けたトレーニング、講座への参加、仕事以外の活動に熱心な人は、その熱意を職場にも持ち込むだろう。

幸福の歴史
人々がより幸福を求めるようになったのは、そもそも既存の文化に根差しているが、他にも要因があった。製造業が中心だった経済からホワイトカラーが主流の経済へと移行したことで、企業経営者たちは幸福をビジネスにする環境が整ったと見たのである。それは、『コンシューマリズム』(1960年代に始まった消費者主権運動)が理由であった。あらゆる業界の広告宣伝担当者たちは、製品と幸福を結びつけることで売上げに拍車がかかることに気づいた。

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mami@Chennai
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