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問いが盛んな場所はどこか?という問い【本:Questions are the answer】

前回の note には書いていなかったことで、あの場で、私に「不快な質問」をしてくれた人がいる。誤解を恐れずに言うのならば、「不快な質問」とは、私に新たな視点を与えてくれた質問でもあり、一瞬鳥肌が立ち、新たな行動に導いてくれる質問だった。そして、この本は、また私に新たな問いへと導いてくれた。

あの日、私はプレゼンテーションで、 curiosity 好奇心 について語っていた。物事を前進させてくれるのは、いつも自分の curiosity であり、ふとした疑問や違和感も大事にしていく必要があるという趣旨のことを話していた。みんなも、「そうだよね」という感じで、納得してくれていて、私も、あたかもこれが今までの自分が導き出した答えかのように、結論づけていた。

その人は、最後にこんな質問を投げかけてくれた。(プレゼンも、質問&回答も英語で)

"Has your curiosity ever disappointed you? "
あなたの好奇心が、あなたを落胆させたことはありますか?

最初に、Thank you for asking such a good question. などとでも前置きしておいたら、形は良かったのだろう、とか思いながら、その時は、ただ、「おぉ」という、驚きと感心と、新たな自問と、考えの深化を一瞬で感じた。前置きをすることを忘れて、一瞬黙り込んだ。

「・・・今、一瞬で過去を振り返ってみたけれど、思いつかない。私はきっと、好奇心の無さが原因でやらなかったことに対して落胆する人間なんだと思う。」

まだまだ、自問する必要があることを痛感しながら、間違いなく、彼女の質問は、自分の問う能力を鍛えてくれたものだった。相手を納得させる回答ではなく、質問の力を知った。自分の前提を覆す価値観や考え方を私に向けてくれた質問だった。そして、私は思うが、そんな人々は至って、「自分自身の弱さを見せられる強さ」を持っている人々だった。

そして、私はまだ考え続けている。偶然、手に取った「問い」についての本も、また私と似たような問いを持ち、研究を続けられていた方の本だった。

前回の note で「人には咲ける場所がある」と言ったが、それには自分の訓練も大事だと付け加えたい。常に、「良い問い」をする訓練を行い、自分の前提を覆す質問をしてくれる人々に感謝し、「問いが盛んな場所はどこなのか?」を探求し続ける。それらを踏まえた上で、私は経験上「咲ける場所」があることを断言したい。

本:問いこそが答えだ Questions are the answer.
A break through approach to your most vexing problems at work 
and in life

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・答えを導き出す鍵として問いを捉えるのではなく、次の問いに進むための足がかりとして答えを捉える
・questionという語の中には、クエストquest(探求)という言葉が入っている

「人が本を書きたいという強い衝動に駆られるのは、見ず知らずの人たちに何時間もかけて何万語もの言葉を読んでもらうのに値するだけの重大な発見をしたと思うときだろう」


・関連のある文献を熟読して、仮設を立て、実地調査を行い、クリエイティブな活動をしている人たちに何百回も会って、話を聞いた。
・問いの安全地帯(問いを発し続けられる環境)
・生まれたときにはみんな、創造性にあふれた好奇心を持っているが、いつしかそれを失ってしまう

・「スタートアップ企業や老舗の大企業で新しい問いを立てることにどういう効果があるかを研究」

ドラッカー氏:
「いちばん重要で、なおかつ難しいのは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることだ。誤った問いへの正しい答えほど、むだなものはない」


・登山家のエベレスト登山とリーダーシップ研究
・意思決定における認知バイアス 1996年の遭難事故
・「新しい問を立てることでよりよい答えを得る方法」
・自分が立てた問が、あまりに後ろ向きだったかもしれないと気づくことも大事。問いの角度を変えることで、問いは変化の触媒になる。
・自然界で問題はどのように解決されているのか
・「問いの力」

・問う能力を高めるというテーマは何十年も前から研究されている
・自分の実力をいちばん発揮できることに専念する「力」とは
・優れた問いは人を引きつけ、意欲をかき立てる
・「自分はそのために地球に生まれてきたのだ」という使命感
・ただ問うのではなく、問題の解決につながる創造的な問いを立てること

人はいかにして問わなくなるか?
・何よりも、人生の早い時期に問いたいという自然な欲求が何度も何度も抑えつけられているから。学校と家庭で始まって、就職してからも続く
・生徒たちからの質問は、授業の進歩を遅らせるものだと見なされ、推奨されていない

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・どんな分野でも、最初に基礎知識(疑問の余地がないことがはっきりしている土台となる知識)を身につけてからでないと、自分で探求や洞察を深めることはできない

・問のない世界では、効率が追求され、独創的な問いは無視されるか、沈黙させられる
・権力は問いのプロセスを腐敗させる
・なぜ人々は問いを我慢するのか?決まりに従わないほうが高くつくと考えているからだ
・問いで大事なのは「心臓がどきどきしてきて、思わず立ち止まり、『これを成し遂げるには、今までとはまったくちがうやり方で取り組まなくてはいけないぞ』と考えさせられる」かどうか
・規模がある程度大きくなると、問いを阻む勢力を説得して、問いが嫌われる環境を創造的な問いが生まれやすい環境に変えることはむずかしい。問いの敵対勢力は、びくともしない。

『問いを活発にしたければ、それらの勢力を相手にするより、問のための場、問いが守られた場を新たに築くほうがいい。そこはルールが異なり、違う条件が整っている場だ』

問いが盛んな場所はどこか?
・インド出身のハーバードビジネススクールの学長ニティン・ノーリア氏
『(MITがあるマサチューセッツは)狭い場所だと感じるいっぽうで、知的には無限の広さを持った場所。インドでは自分の立場をわきまえなくてはいけないと教えられた。マサチューセッツでは、知的な問いを立てる権利がみんなに等しく与えられていた』

・文化的次元の違い
1. 権力格差
2. 不確実性の回避
(社会の人々が曖昧さや、はっきりしない状況や、未来の不確かさに対して、どの程度ストレスを感じているか?)不確実性の回避の傾向が強い文化では、人々は厳格な行動規範や、法律や、決まりに満足している。
3. 個人主義か集団主義
「安定を保つ知識」が多くの取り決めを破壊しうる「変化を起こす知識」よりも重視される(ホフステードの研究)

・問わないことのほうが楽だと思い込む人も多い
・リーダーシップの研究者ジョン・ガードナー
「現状を維持しようとする勢力のこちこちに硬直した思考と頑迷な自己満足」
・チーム内でも、教室内でも、家庭内でも問いを活発にするためには、意識的な努力が求められる
・答えではなく、問を出し合うブレインストーミング
(画期的なアイデアは単に優れた頭脳の産物ではない)
・「たいていの人は人間の思考は環境によって決まると考えているから、さもなければ思考は環境を超越したものだと考えている」
問。

クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』
・行為(習慣化している行動と判断)には必ず背景がある、だからいかなる行為も、背景を無視してそれだけを変えることはできないというのが、クリステンセンの持論。クリステンセンはその例として、欧米諸国が資本主義や民主主義の慣習をそのような慣習のない国に持ち込もうとしてしばしば失敗していることを指摘している


・クリステンセンは昔から、問いの力を信じている人間でもある。著書には問いの力に目覚めたときのことも記されている。ハーバードビジネススクールでの学生時代のことだ。ある日、同級生が事例研究に対してとてもすばらしいコメントをしたのを聞き、分析の角度が自分とはまったくちがうことに気づいた。クリステンセンはノートに次のように書きつけた。『あのような鋭い洞察はどういう問いから生まれるのか?』それからのち、議論の準備をするときには、いきなり解決策を探ろうとする自分を押しとどめるようになった。「稀有で価値あるスキルとは、正しい問を立てることだと気づいた。正しい問いを立てれば、正しい答えはふつう、すんなりと導き出される」

・自分がどういう環境に置かれているかを理解し、それに適応するのは、きわめて合理的な行動でありうる

・ザッポスのCEOトニーシェイ
彼は何よりも場を築くことに長けている
シェイはいろいろな分野で、人と人が関わり合う環境をいかにリセットするかに知恵を絞っている
企業文化「ホラクラシー」エコシステム
「ひらめきをもたらす出会いを増やしたい」
・安全に危険を冒せる場
・自分のまちがいを探そう。
・創造性に富んだ人々ほど、創造的な好奇心を保つため、自分に適切な刺激を与え続けることを心がけている

・デジタル化がどんどん進む現代の生活では、自分の考えを覆す情報はいっさい遮断して、自分の固定概念を強化する情報にだけ囲まれて暮らすことがますます容易になっている

【メモ】「開発は、今ある人々の笑顔をいかに守るのか?という視点にたったとき、きっと良い方向に進む」なんだかわからないけれど、読みながら、ふと思った。

・「理由はどうあれ、人間に知性が備わったこと、問うことを可能にする意識というものが進化によって獲得されたことは、幸運なことでした。人間が問うのをやめるのは、悲劇です。」

・よい問いが見つかる確率を高めるためには、つまり問題の見方を変えて、よりよい解決策へつながる道が見つかる確率を高めるためには、問いが活発な環境に身を置くことが必要。

・対立の恩恵
知覚や、感情や、思考において対立を経験する
不快な経験をするが、そのぶん洞察も深まる
・批判と向き合う
・わたしにとっての旅の目的は、複雑さや矛盾に身をさらし、家にいてはけっして思いつかない問い、簡単に答えられそうにない問いと向き合うことだ

・ほんとうに社会の役に立てるのは、問いやアイデアを現実の形にできる人だBy マイケル・ホーリー
・パタゴニア、ザッポス、スティーブ・ジョブズ etc... 
・パタゴニアは、真実を追求している会社だと断言できる。社員は社内外を問わず、「徹底的な透明性」を大事にしている。

【メモ】質問「自分の専門分野や契約の期限などを全く考慮せず、この地域に役立てるとすれば、それは何か?」「この地域は、どう成長したいのか?」「守りたいものは何か?」

・自分にとって「不快な質問」をすることに長けている人。不快な質問をし、問題の根を掘り起こし、次に進む。

・パタゴニアでは、最初の問いによって放出されたエネルギーは、その問いによって示唆されるさらに大きな次の問いを探すことに振り向けられている。問いを手がかり、足がかりにして新しい高みへとのぼり続けるのだ

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・「思考の硬直化」
・ストーリーを語る力を磨く
・次の世代の問い手を育てられるか?未来のイノベーターはどう育つのか?
・デジタル世界は問いの天国か、それとも地獄か?

・家庭での問い

【メモ】思い出した。フランス人の友人が、結婚式で語っていたストーリーを。「私は、4人兄妹の妹として育ちました。幼い頃から、毎晩のように家族で様々な話をしていました。いつも兄たちに、会話を奪われ、いかに自分の話を聞いてもらえるか、闘いの連続でした。でも今思えば、あの時の環境が、今の自分の『世界への好奇心』を育ててくれました」と。

子どもの好奇心をいつも大事にしてくれる家に育ったライト兄弟

・「お子さんの問う能力を磨くため、または、問おうとする気持ちを後押しするため、特別にしていることはありますか?」
・新しい世代には新しい問がある

・わたしに行動を起こさせてくれる問い
・私たちが自分に問い始めるのは、少なくとも世界を理解したいという思いがあるからだ
・自分が満足しないことに満足する。問い続ける。
・問う力はコミュニティーの中で養われる
・自分の問う能力を鍛えてくれた人は誰か

ハル・グレガーセン
Hal Gregersen
世界で最もイノベーティブな人物をランキングするthinker 50 に2015年以降選出。MITリーダーシップセンター所長。

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