人生を豊かにする「乙女建築」を求めてベトナム・ホーチミン市美術館
真夜中ドラマ『名建築で昼食を』は、東京にある名建築(例:山の上ホテル、国際文化会館、国際子ども図書館、東京都庭園美術館、自由学園飛鳥館など)を舞台に、物語が繰り広げられる。当然、その物語の中に、建築の歴史や設計、デザインなどの紹介も含まれていて、フランク・ロイド・ライト等の世界的建築家の名前も学べる面白いドラマだった。
その中で、「乙女建築」という言葉がある。
レトロなタイルや螺旋階段、地下バー、アール・デコ様式、アーチ棟、ルネサンス様式、銭湯、木造モダニズム、ル・コルビュジェに師事した日本モダニズム建築の第一人者、坂倉準三など、ジャンルや歴史、発祥国、建築家を問わず「乙女建築」デザインは存在する。(乙女=女性向けというわけではない)
このドラマを数か月前に観て、よりベトナムで建築を見る際の自分の視点が豊かになった気がした。ベトナムのホーチミン市にあるホーチミン市美術館にも、「乙女建築」がたくさんあった。
現在の美術館は1987年に建てられた。上記の·説明通り、博物館の敷地内に3つの建物があり、まずメインの入り口で入場チケットを購入する。これらの建物は中で繋がっているわけじゃないので、それぞれの入り口から入って、一度外に出て、また隣の建物に入る。
ベトナムのアーティストの絵画もさることながら、とにかく建築美に圧倒される。建物の細部までのこだわり、アール・デコ様式のデザイン、小窓や階段、タイルの全てがアートだった。全方面から楽しめる世界。
The first building: The display of Modern Arts collection
The second building: Special exhibitions
The third building: The display of Ancient Arts collection
一番最後に入った、奥の建物が一番のお気に入り。特に、中央にある螺旋階段、朱肉色の壁、そしてステンドグラス。
アートと彫刻、木版画、そして博物館の外観としての建築そのもの全てが、人生を豊かにしてくれた大切な時間。全てを周って、1時間~1時間半ほど。大きくはないので、そこまで時間はかからないけれど、建築家や写真家にとっては建物の詳細をじっくり見たいところかもしれない。
ちなみに、建物のほとんどの箇所は吹き抜けのような感じで外と繋がっており、エアコンが無く天井の扇風機のみです。それがまた自然で良いのだけれど、人と気候によっては暑さとの戦いもあるかも・・。