写真は関係性を写す
今でこそ写真を撮るのが好きと言えるが、元来、撮られるのも撮るのも苦手で、笑ってと言われても、なんで面白くないのに笑わんとあかんのや、と思っていた。それが如実に出たのが成人式の写真で、せっかく綺麗な着物を着せてもらったのに、何故こんなにムスッとしてるんだ・・・という仕上がりになっている。笑っている時間もあったはずだ。タイムマシンがあったら、こそっと撮るので差し替えたい。
仕事で写真を撮らなければならなくなったことがある。お店で働いていた私は、いきなり業務としてネットショップの商品を撮ることを命じられた。え・・・無理です、嫌です・・・。と言った覚えがあるが、それでしなくていいなんてことはなく、いい写真だったかは分からないけれど、それなりに褒められて、写真のせいで売れないということはないくらいのレベルだったとは思う。
写真は業務であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。それが楽しいものに変わったのは、その会社を辞めた時、コツコツ貯めていたお金でカメラを買ってからだ。
しばらくニートの様な生活をしていた私は、写真を撮ることで日々の時間を過ごしていた。そうしている内に、道端で声を掛けられ展覧会に参加させてもらったり、某メーカーが主宰していたWEBアルバムのランキングで1位になったりした。(立ち上がりの時でライバルがほとんどいなかったこともあるけれど。)
撮った写真を出すと褒められることが多かった。単純だけど、だから撮ることが好きになった。写真を撮ると嬉しいことに繋がる率が高いから。
再び働き始めてからは、マイブームの波に従って撮ったり撮らなかったりだが、最近一つ変わったことがある。それまでは自然や建物を撮ることが圧倒的に多かったが、結婚して夫の写真が増えた。
夫は写真を撮られるのが嫌いな人で、付き合って1年くらいは本当に撮らせてもらえなかった。けれど、コロナ渦で会えない日が続き、写真がなかったら顔を忘れてしまう!!と若干脅し気味に言ったことが功を奏して、少しずつ撮らせてくれるようになった。
今では進んで顔パネルに顔をはめに行く。人間というのは変わるものです。けれど、その顔が本当にどれもすごくいいのだ。そこには私を見る目が写っていて、この目をしてくれるのであれば、私たちの関係は大丈夫だと思えたりする。
カメラには関係性が写るんだとはっきり実感したのは夫を撮るようになってからで、そこからさらに写真が好きになった。今は、上手じゃなくてもイイ写真が撮りたい。願わくば、ずっとこの安心した笑顔を撮り続けたいと思う。
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