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『落下の解剖学』、好き。
おつかれさまです。
徐々にムズムズも収まってきたこの頃です。
先日、四条烏丸のCOCON KARASUMA(古今烏丸)3階にある映画館、京都シネマに向かいました。お目当ての作品は「落下の解剖学」。
今回は「落下の解剖学」の感想を、ダラダラと書いていこうかな~と思います。
ここでネタバレ注意報を発表しておきます。もちろんネタバレします。
受賞
まず、なんといっても第76回カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞しました。これは作品の格付けに大きく寄与したことでしょう。
また、みなさんにも聞き馴染みのあるアカデミー賞。作品賞を含む5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しました。他にもゴールデン・グローブ賞脚本賞、非英語作品賞受賞。
あらすじ
これは事故か、自殺か、殺人かー。
人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。
はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラに殺人容疑が向けられる。
現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。
証人や検事により、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ<真実>が現れるが──。
面白そうですよね。先述の各映画賞の受賞によって箔がついていることもあると思いますが、名作の予感がしますよね。
でも、この作品、およそ180分あるのです。転落事故もしくは事件というネタだけで180分やんの!?イケる!?時間余らない!?
結局「もう終わんの…」ってことになるんですけどね。
登場人物/出演
・サンドラ:ザンドラ・ヒュラー
ドイツ人のベストセラー作家。夫の転落死の容疑者となる。
・ヴァンサン・レンツィ弁護士:スワン・アルロー
サンドラの弁護を担当する旧知の弁護士。
・ダニエル:ミロ・マシャド・グラネール
サンドラとサミュエルの息子。視覚障害を抱えている。
・サミュエル:サミュエル・タイス
サンドラの夫。
感想
本当は詳細なレビューを書きたいです。その方が観る人にとっても助かりますし。だって大体こういう映画のレビューをみるときって、「あれはどういう意味だったんだろう」とか「登場人物の相関や心情を知りたい!」っていう時だと思います。いわゆる答え合わせ的な。
いかんせん私が鑑賞したのが1ヶ月ほど前なので、、、。いや早く書けよ、ってことですが、思い出しながらも、なんとなく薄い感想だけ書きます。
もうね、はっきり言っちゃいます。
この映画、とにかくむずむずします!。モヤモヤというか、なんかすっきりしないんですよね。
1.サンドラと夫の関係。
物語開始して間もなく、主人公・サンドラの夫は転落死します。
ここまでこの夫、サミュエルは顔を見せることはありませんでした。この時点では、どんな人物で何の職業でどんな夫婦なのかわからないのです。ですが、サンドラの言動からも、さほど関係性は悪くない普遍な夫婦仲であるように伺えます。
基本的に、観客は主人公の味方です。今まで散々、窮地に陥ってきた主人公、冤罪によって人生を狂わされた主人公を、私たちは見てきました。ですから私たちは主人公を自然と応援するでしょう。
加えて、「落下の解剖学」に至っては、サンドラに息子(ダニエル)がいるのですが、視覚に障害を抱えています。これは、今回の事件の容疑を晴らすには不都合な条件でありますね。証人としては物足りませんし。同時に、主人公サンドラの不遇な境遇を想像して、私たちはより主人公側に立ってしまいます。
では、真実は。気になってしまいますが、これがサンドラ以外の他殺はあり得ないのです。これはそういう前提として話が進められます。事件が起きた主人公夫婦の自宅の立地からもこれは断言されます。
ですから、自殺か、事故か、それともサンドラによる殺人か。現場検証などを経て、舞台のメインは法廷へと移ります。
ここから、サンドラに不利な証拠というのが次々と出てきます。ですから、主人公サイドの私たちは、「がんばって言い返して!、がんばって弁護して!」と思うわけですよ。
夫が録音した口喧嘩。サンドラの過去の不倫。夫の原案の盗作しベストセラー。
この夫婦は頻繁に喧嘩をし、手が出ることもあったそう。
もちろん夫の言動にも問題はありましたが、なんとなく、夫婦で問題があったのはお互い様、むしろサンドラが、、、。
次第に私たちは、サンドラが正義という思い込みが覆されていくのです。サンドラは無実、私たちはサンドラの味方という考えが徐々に薄れていきます。
結局、サンドラは無実となり、釈放されるのです。ですが、私たちはモヤモヤしたままです。
2.ダニエルの存在
彼ら夫婦にはダニエルという息子がいます。彼は前述のとおり視覚に障害を抱えていますが、その原因には夫の過失も含まれていました。その罪悪感からか、彼はダニエルを溺愛していたように思えますし、ダニエルもサンドラより夫に懐いていたような気がします。
ダニエルは、法廷では一貫して母を擁護し続けました。しかし、家ではサンドラを避けているようにも思えました。
彼は最後、裁判の結果を決定づける証言をするのですが、その大事な日の前日、母と共に過ごすことを自ら避けます。そして裁判が終わりサンドラが返ってきたときには彼はもう寝ており、サンドラとは別々に就寝します。
彼はおそらく母が殺した可能性があるということが頭にあったのでしょう。それでも彼は母を守ることを貫きましたね。
3.弁護士
サンドラの弁護を担当したイケオジ弁護士。彼もおそらく最も真相に近づいた一人でしょう。彼はサンドラと元々知り合いでした。恋愛関係にあった描写もあります。
彼らは裁判終了後、勝利の宴をします。ここでサンドラと弁護士が二人きりになるシーンがあります。私はここで、弁護士が「ほんとは君が殺したんだろ?」とでも言ってくれ!と思いながら見ていました。しかし何事も起きることはありませんでした。
おそらく普遍的な作品だと、最後に真相が明かされることでしょう。裁判としては白黒ついたわけですが、観客の頭はグレーなままです。
真相は観客に委ねる。これが今作の名作たる所以だと思います。
以上の感想は全て憶測であり、個人的な見解に過ぎません。しかも鑑賞したのが1か月ほど前ですからね…。
いろいろあって最近はnoteが更新できていませんでした。また定期的には書いていきたいと思います。
今日もありがとうございました。