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熊田千佳慕の世界展(かなっくホール・2004年7月)

※過去の展覧会のレビューです

2004.7.30 Friday
この日はすごく感動して帰って来ました。
ボタニカルアートという細密画を描いているわたし。
この「クマチカ」のことは、友人たちの大絶賛の声を聞いているにもかかわらず、いつも見る機会を逃していたのです。

今回も、横浜市神奈川区の「かなっくホール」までわざわざ出かけたのは、これを逃すと見られないんじゃないかと思って・・・・

もう90歳を超えたクマチカ、このかなっくホールのある神奈川区に住み、近所の公園を散歩し、虫や自然と触れ、日々創作活動にいそしんでいます。

わざわざ山に出かけなくても、都会に住んでいても自然と触れ合う機会はいくらでもある、とクマチカは言います。

細密でありながら、独特のタッチで温かみのある世界を作り上げる、その絵の世界は、まさにクマチカワールド。他の追随を許さないものがあります。

いつまでもずっとそこにたたずんで、眺めていたい世界・・・虫や花が有名ですが、わたしは動物の絵が好きです。

ライフワークの『ファーブル昆虫記』に絵をつけようと決めてから、もう20枚の絵を仕上げたそうで、残り10枚は仕上げたいと思ってるのだそうです。

『オズの魔法使い』を絵本にしたのは、世界で彼がはじめて。衣装やキャラクター造成は彼が自分で想像したイメージで描いたのだそうです。後年、映画化された映像を見て、それらが彼のイメージとほとんど同じなのに驚いたのだそう。

他に「不思議の国のアリス」「みつばちマーヤの冒険」などの絵本を見て育ったという方も、きっといらっしゃることでしょう。

クマチカ、本名は五郎。千の美しい女性に慕われると言う意味の千佳慕に、ファンの薦めで改名したのだそうです。

これは2004年当時、会場に展示されていたプロフィール。

熊田千佳慕( くまだちかぼ ) プロフィール
1911年、横浜市中区生まれ。
1934年、東京美術学校(現・東京芸術大学)卒業。 山名文夫に師事。デザイナー・写真家集団「日本工房」に入社、土門拳らと仕事をする。戦後、細密画技法を会得し、以後今日まで「ファーブル昆虫記」、「みつばちマーヤの冒険」、「ふしぎの国のアリス」の挿画や絵本など、生命感あふれるすぐれた作品を数多く発表。 ボローニャ国際絵本原画展入選をはじめ、数多くの受賞がある。すぐれた観察力と卓越した描写力で多くの人々を魅了するとともに、フランスの「ファーブル友の会」会長から「プチ・ファーブル」と称賛される。横浜文化賞、神奈川県文化賞受賞。 横浜市神奈川区在住。

2009年(平成21年)8月、白寿を記念して「プチファーブル・熊田千佳慕展」が東京松屋銀座で開催され、その開催2日目の8月13日未明、誤嚥性肺炎のため自宅にて死去した。享年98歳。

最近も広島県・奥田元宋・小由女美術館 で大規模な展示があったようです。

「日本のプチ・ファーブル」と呼ばれ、自然の姿の観察を通して描く昆虫や植物のリアルな細密画で知られる熊田千佳慕(くまだ ちかぼ)。1911年に生まれ、戦前は商業デザイナーとして活躍しますが、戦後は児童向けの絵本を中心とした作画活動に転身しました。筆の穂先の数本の毛のみを使い昆虫の細かな毛を描き、植物の葉脈一本一本にいたるまで丁寧に表現する細密画は、対象を様々な角度から観察し「納得するまで描く」という信念のもと、一枚を描くのに何か月も費やしてきました。そうして生み出された膨大な作品群は、子どものみならず広い世代の人々を圧倒し、国内外で脚光を浴びています。
時に昆虫の捕食行動や枯れ果てる植物の姿をもリアルに描くことで食物連鎖の厳しさを表現するなど、自然界を徹底的に客観視しながら98歳で亡くなるまで絵筆を握って描き続けました。長年にわたって自然と向き合い続けた熊田は「自然は美しいから美しいのではなく、愛するから美しいのだ」という境地に達したといいます。
本展では、ライフワークとなった『ファーブル昆虫記』をはじめ、春夏秋冬の動植物の姿、ファンタジー作品、世界的な評価を受けている絵本の原画などの作品のほか、その創作の源とも言えるデッサンなどの資料を展示し,あらゆる命を愛した熊田千佳慕の世界を紹介します。

https://artscape.jp/exhibitions/26602/

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