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謎の中華料理とグリルバー|上海2018 #4(完結)

前日の行程:
言葉は通じずとも、もみあげを残すことはできる。

豫園 岩だらけ

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上海で最も有名な観光スポットの一つが、豫園(よえん)。明の時代16世紀後半の庭園で、当時の楼閣や亭と、それらを結ぶ回廊が見どころ。

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豫園内の散策の前に、敷地内にある「湖心亭」という茶屋で一服。後で知ったことだが、この湖心亭、200年以上の歴史を持つ上海最古の茶館らしい。その歴史によるものなのかは分からないが、いただいた中国茶は本当に美味しい。

お茶の種類は、日本人にもおなじみ烏龍茶だったが、ペットボトルの烏龍茶とは訳が違う。また、中国茶は香りを楽しむものでもあるらしく、店員のお姉さんに言われるがまま、急須の蓋を鼻先に持っていき、スゥっと香りを吸う僕たち。確かにいい香りだが、そうやっている姿が面白い。

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一服した後、友人らはお土産にハンコを購入。その場で好きな漢字を彫ってくれるというもの。職人がハンコの石をドリルで削っていくわけだが、石に下書きなどはしない一発彫り。さすが漢字の本場の国だ。

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ハンコを購入した友人らとともに、豫園内の庭園散策に向かう。この日の前々日に訪れた蘇州の拙政園などと似た雰囲気ながら、岩を使って風景を再現した庭園だ。

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使われている岩は、太湖石(タイフーシー)という石灰岩で、侵食による穴や複雑な形があるほど良いとされているそうで、その形をもって自然や景色を再現している。同じ庭園とはいえ、日本とこの中国江南地域の庭園の作り方は(当たり前ながら)全く違うのが面白い。

豫園商城 謎の中華料理

豫園の隣には豫園商城という商業施設がある。元はここも庭園の敷地だったそうだ。ここで僕らは昼食をとることにした。

僕らは基本的に食事にこだわりが無く、「現地のものを食べる」という意識が希薄である。そのため、毎日毎日、飽きもせずホテル近くのグリルバー「藍蛙」で、ハンバーガーやらバーベキュー肉やら、やたらアメリカンなものを食べていた。

だがしかしいつまでもそれではいけない。ここは三大料理の国なのだ。強い意志をもった僕らは、豫園商城内の中華料理店に入った。上海旅4日目にして、ようやく中華料理らしい中華料理である。

しかしながら、ここで問題が。渡されたメニューが中国語のみ&写真無し。日本語はもちろん、英語表記もないため、漢字の羅列から料理を想像するという、なかなかのミッションになった。現地のものを食べるという楽しさではあるものの、思っていたものとは違う。

3人で想像を膨らませ、どうにか「」という漢字の入ったものと、「」という漢字の入ったものを注文した。蟹や肉が入ったものに間違いは無いだろうという策である。罷り間違って満漢全席が出てきたら被害が大きい。

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しかして出てきたのは、蟹のスープと、

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レバニラ炒めのような何か。普通に美味しい。何かとんでもないモノが出てくることを、心のどこかで期待していたが、結果は至って普通だった。

さすが中華料理、はずさない。

龍美術館 自由行動

食事の後友人らと一旦別れ、午後は自由行動の時間。旅先でも自由行動の時間があるのは本当に大事だ。

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僕が向かった先は、黄浦江沿いの龍美術館という現代アート美術館。黄浦江沿いは、元は船着場などがあった場所だそうで、今はそれらをリノベーションしたアート関連の施設が並ぶエリアだった。

チケットセンターに行くと、受付の方が、一生懸命に何かを説明してくる。中国語で。

言葉の意味は全く分からなかったが、美術館の受付の人がそれほど変なことを言うはずはない。僕は適当にOKOKと返して分かったフリをしていると、受付の方がチケットを発行してくれた。そしてロッカーに案内され、荷物をおさめるように促された。

チケットを手に入館すると、いたってきちんとした綺麗な美術館だった。中国の作家だけでなく、日本を含む世界からの作家の作品が展示されている。

が、どうも様子がおかしい。ガイドブックに書かれていたよりも圧倒的に人が少ない。また展示エリアも少ない。そう訝しんでいたとき、看板が目についた。

工事中

どうも、大半のエリアが工事のため封鎖されているらしい。受付の方が一生懸命説明していたのはこれだった。「今工事中であまり観るものないが、本当に行くのか?」的なことを言われていたようだ。

上海雑技団 手作り感

歴史博物館に行っていた友人と、ショッピング街に行っていた友人と合流し、上海雑技団の公演に向かった。

上海にはいくつか雑技団があるが、僕らが行ったのは上海商城劇院という劇場の公演で、比較的規模が小さく伝統的なもの。最近では、バイクショーやミュージカル風のものもあるようだが、雑技団なるものを初めて観る僕らとしては、やはり伝統的なものを観ておきたい。

規模が小さいといっても、この劇場は高級ホテル「リッツカールトン」の敷地内にあり、数百名は入る場所だった。そして内容は、倒立体操や椅子を高く積み上げた上での演技など、オーソドックスなものだった。

日本との文化の違いと感じて、面白いと思ったのは、「意外と失敗する」ということ。そして「失敗しても気にしない」こと。もしかしたら僕が観た回だけだったのかもしれないが、失敗しても堂々と演技を続け、床に散らばったワイングラスも大して気にしないという、そんな心の強さは、観てて気持ちがいい。また、舞台袖で次の演目の練習する音が聞こえてくるなど、意外と手作り感がある様子が面白い。

観劇後、時刻はすでに20時すぎ。食事をしたいが、日本のようにそこかしこに居酒屋は無い。となれば、僕らが向かう先は、もはや常連となった、ホテル近くのグリルバー「藍蛙 」だった。滞在4泊中、3回同じ店を訪れたことになった。

玉仏禅寺と帰国

翌朝、昼過ぎには飛行機の時間。そのため、ホテルから歩いて行ける玉仏禅寺へ。

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珍しい「玉」で作られた座仏と臥仏が有名なお寺。ただこの座仏と臥仏は本堂の大雄宝殿ではなく、その奥にある玉仏楼と西側の臥仏殿という専用のお堂にある。

あまり時間も無く、慌ただしく観て回った後、僕らは空港へと向かった。余裕があるかと思っていたがそんなことはなく、空港に着いてからバラマキ土産を急いで買い込み、僕らは帰国の途についた。

搭乗を待っている間、友人らと「この旅で何が一番記憶に残ったか?」という話題になったとき、3人とも同じ感想を言い合った。

「グリルバー藍蛙」

僕らの上海名物、グリルバー。

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