とあるゲームの禁止目録
最近わたしがプレイしている『とあるゲーム』の話です。
「あー、やっちまってるな、コレ、うちでは禁止しているゲームデザインだ」
その『とあるゲーム』の先日のアップデートで新たに実装された要素を遊んでいて、挑戦しようとしたら「〇〇〇が200以下でないと挑戦できません」と表示されてプレイそのものが出来なかった時に、そう思いました。
最初は「挑戦条件を満たしていません」とだけ表示されたので「なんでだ?」と思ってよくよく画面を見たら詳細情報のところに赤文字で「〇〇〇が200以下でないと挑戦できません」と表示されていて、「あー」って思ってしまいました。
ゲームタイトルを伏せた状態で説明しているのでややわかりにくいかもしれませんが、そのゲームにおける「〇〇〇」というのはある意味強さのパラメーターだと思ってください。
要するに「あなたは強くなりすぎているので弱いパーティに変更してから挑戦してください」と言われているわけです。
本来RPGにせよアクションゲームにせよ、どんなゲームソフトにだってルールがあってその基本は「強くなって勝つ・上手くなって勝つ」が当たり前で中心にある根本の概念です。
なのに、「それをやってはいけません」というのはそのゲームのルールを自ら覆す行為であり真逆の思想です。
私はこれを『マイナスのゲームデザイン』と呼んでいて、サイバーコネクトツー社内では開発者全員に『禁止事項』として明示しています。
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これには理由があります。
過去に自分たちが犯してしまった過ちの反省からきています。
サイバーコネクトツーが開発し2004年にバンダイ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された『NARUTO-ナルト- ナルティメットヒーロー2』のことです。
本作にはストーリーモードがあって、プレイヤーはその物語の進行に応じて様々なキャラクターを操作して敵に勝つ、そうするとまた物語が進行するという実にスタンダードなプレイスタイルでした。
しかし同時に全てのバトルには条件設定(ゲーム内では『バトル条件』と呼称)が為されていました。
(今となってはただただ反省ですが)その『バトル条件』の設定に大きなゲームデザイン上の概念としての過ちがあったのでした。
ひとつのバトルには複数の『バトル条件』が設定されていて
というものや
というものが多く、これらの『バトル条件』は特に問題はありません。
しかし、いくつかのバトルの中にこんな『バトル条件』があったのです。
意味、わかりますか?
問題となるのはこの『2.奥義を使用しない』という条件です。
ゲーム内で敵と闘って勝つために実装されている要素(=奥義)であるにも関わらずそれを禁じていることと、「奥義そのものがプレイ中に使える状態だった」ということが大間違いなのです。
普段通り遊んで敵と闘っている最中にプレイヤーがうっかり奥義のボタンを押した瞬間に『GAME OVER』となってしまうのです。
そもそも敵と闘って勝つのがゲームの目的であるはずなのに、一番相手に大きなダメージを与えるべく用意された奥義を禁じるなんてゲームルールは実装してはいけません。
100歩譲ってそれがゲームルールの多様性の一部だと飲み込んで実装するにしても、それだったら奥義のボタンを押しても無反応にするしかありません。
うっかり押した瞬間に『GAME OVER』なんて悪魔のルール(ただの罠)です。
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当時は現在のようにSNSなどが無かった時代でしたが、今だったら間違いなく炎上案件だったと反省しています。
この当時は作りながらも「たくさんのバトルがあるんだからこうした『バトル条件』があってもいいかな」くらいの気持ちで実装してしまったことを心から反省して、それ以後サイバーコネクトツーではこうした『マイナスのゲームデザイン』を禁止事項としているのです。
本来、ゲームソフトにおける我々ゲームデザイナーとプレイヤーの闘いは常にフェアな条件の中で「出来るかな?勝てるかな?」が絶対的なルールであるべきです。
だからこそプレイヤーは全てのゲーム内の要素を総動員して闘って勝てたら嬉しいし、負けたらレベルを上げるか装備を強化するか、プレイスキルそのものを練習して向上させてから勝つ!だから勝つと嬉しいのです。
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弊社内ではこうした『マイナスのゲームデザイン』を禁止してから久しく、身近な距離でそういったものを目にする機会も少なくなってきたのでちょっと忘れつつあるところでしたが、冒頭に挙げた『とあるゲーム』がこのことを思い出させてくれました。
ちなみに、ですね。
これは別に言い訳とかではなくて、時代背景的なこともあったという意味も含めてお話しますが、実はこの2004年当時はこうしたゲームルールやバトル条件を実装したゲームソフトはたくさん存在していて『ナルティメットヒーロー2』もそうした中の一本だったということです。
そして、こういう「うっかり」すらをバトル条件としてゲームデザインに盛り込むと、当然ですがプレイヤーの感情が動きます。
「うわ、押しちゃったよ、くそ!」
思わずこう叫んでしまいます。
実際の話、当時開発中だった我々自身がデバッグ中に何度もプレイしながら「うわ、押しちゃったよ、くそ!」とか言いながら熱く遊んでいたのです。
またこれは完全に余談なのですが、芸人の霜降り明星・せいやさんが自身で挙げるベストゲームに『ナルティメットヒーロー2』を選んでくださっているのが嬉しいです。
こちらの公式YouTubeの中でも熱く語ってくださっていますが、こんな感じでプレイした人の感情を大きく動かしたゲーム作品であったことも一方では事実なのです。(せいやさんにはいつか直接お会いしてお礼を言いたいと思っています)
さっきも言いましたが「だからといって言い訳をしている」わけではありません。
やはり違うものは違うし、過ちは過ちとして反省しまた先に進めていくしかありません。
日々精進し真摯にお客様にフェアで面白いゲームソフトを提供できるべく今後も頑張っていきますので、何卒引き続きサイバーコネクトツーと我々が生み出すゲームソフトの応援のほどよろしくお願いいたします。
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さて後半部分は冒頭で挙げた『とあるゲーム』を説明します。「え?結局言っちゃうの?」と思われるかもしれませんが、別に全然言えますし言いますよ。
私が自分のお金と時間で遊んでいるゲームの感想の話ですからね。
まぁただ誰もが目にすることが出来るようなSNSなどの公の場所で批判とも取れるような(勝手にそう思われてるだけですが)感想を書くとまたどこかの偉い人に怒られる気がしてなりませんので、公の場ではなく一部の場で感想を述べますね。
それでは張り切っていきましょう!
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とあるゲームの禁止目録
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