昼も夜も風呂でもトイレでも夢の中でも①
脚本の作り方
「松山さんって、ゲームを作ったり、漫画の原作を書いたり、それこそブログを頻繁に書かれたりと、とにかくたくさん色んな企画を手掛けられているように見えますし、事実そうなんでしょうけど、そういうネタってどうやって思いつくんですか?」
こんなことを質問されました。
あくまで、私の場合は、という前提で今回は企画や脚本の作り方についてお話していこうと思います。
まぁ、わかりやすく説明していくために『脚本の作り方』に絞って説明していきますね。
人によって順番はことなるかもしれませんが、私の場合は以下のような3つぐらいの焦点を同時に考えます。
①コンセプト&ターゲット
②やりたいこと
③なりたくないこと
順番に説明していきますね。
①コンセプト&ターゲット
これはそのまんまですが、コンセプトとは企画意図と言い換えることもできて「なんのためにその企画(脚本)を作るのか?」ということを真剣に何度も何度も考えます。そしてターゲットとは「誰に届けるか?楽しんでいただくのか?」ということです。最初はなんでもボンヤリとした状態からスタートしますが、この後に説明する②と③に深く関わってきます。
②やりたいこと
自分自身が今考えていることや感じていることの中から「こういう感じに楽しんで欲しいからこんなことをやりたいなぁ」ということをこれもボンヤリとした状態から考えます。割とふわっとしているように見えますが、何度も何度も考え続けていると不思議とやりたいことの焦点が絞られていく感覚が必ず芽生えます。
③なりたくないこと
これはどちらかというと、これまでに私自身が大量に読んできた本や漫画、そして同じく大量に摂取してきた映画やアニメなどの作品群の中から「こんな意味の無いような作品にはしたくないなぁ」と感じたものを強く思い出して絶対にそうはならないように、と心に刻む過程です。「やりたくない」ではなくて「なりたくない」と感じる部分がポイントです。観終わった後に「うん、なるほど、……で?」と感じてしまうような作品には絶対にしたくない!と常々思ってますからね。というか、これまで見てきた作品群の中にどれだけコレ系の作品が多かったか、ということです。私の人生の時間を無駄にした罪を私は一生許さないし、そういった作品群を屍と捉えて「絶対に俺はこんなクソみたいなものは作らないしお前らのその屍を墓標のように心の中に何本も指して夕日の中で誓ってやるぜ、お前らの死は絶対に無駄にはしないってな」くらいの脳内妄想を行って逆に選択肢を絞っていく感じです。
初期段階ではこの①から③の工程を何度も何度も頭の中で同時に考えては潰して変更して入れ替えて継ぎ足してひっくり返して最初に戻ってまた考えて考えて整理してまた考える、ということを繰り返し繰り返し行います。
その次の段階が④と⑤です。
④考えていることを人に話す
⑤書いてみる
④考えていることを人に話す
これは私独自のやり方のような気がしますが、気心の知れた人間を呼んで話を聞いてもらいます。相手が1人の時もあれば4人くらいの時もあります。で、とにかくこれまでに自分で考えてきたことを言葉にして説明します。もう普通に考えながら喋っています。喋りながら自分で「うん、まるで手応えが無いな」と感じる時もあれば「うん、あってる、間違って無かった」ということが感じ取れます。これはその脚本や企画が世の中に出た時のインタビューなどで第一声として説明を始めた瞬間に相手に「面白そう」と感じていただくまでの時間などを想定したシミュレーションだと思ってください。作る前から完成した時のことをイメージして伝える感じです。話(説明)の冒頭1分の段階で相手の心をグッと掴むことが出来ないようであれば、その企画(脚本)はダメだと思います。なのでまた考え直します。けど、こういった「実際に言葉にして人に聞いてもらう」ことでかなり形が見えてきます。
⑤書いてみる
あとはもう書くだけです。これまでに何度も何度も頭の中でぐるぐると考えてきたことを整理しながら書いていきます。書き方のフォーマットなんかありません。まずはとにかく書く。書いて進めてひととおり終わらせます。そのあとは読み直して修正して何度も何度も書き直します。それでも上手くいかない時には全部捨てて一度奇麗に頭の中をリセットして工程の①から③に戻って繰り返して④から⑤に戻ってくる感じです。
ざっと説明すると、私の脚本の作り方は本当にこんな感じの工程なのですが、正直上に挙げた内容よりも最も大切なことがあります。
それをゼロ段階の工程(前提)として紹介しますね。
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