週刊少年松山洋_タイトル_修正

キャラクター版権ゲームの作り方 ナルト編

“サイバーコネクトツーでキャラクター版権ゲームタイトルを作る時にここは他社と違うというポイントを教えてください”

という質問をいただきました。

正直に言うと、他社がどのようにして制作を行っているのかを知りませんのであくまで“弊社はこうしています”というポイントをいくつか紹介させていただこうと思います。

ポイントは以下の通り。

ポイント①漫画原作資料をそろえる
ポイント②アニメ資料をそろえる
ポイント③コンセプトを考える
ポイント④版元監修に備える
ポイント⑤直接監修に備える
ポイント⑥ファンの期待に応える

今回は“ナルト編”――では順番に行きましょう。

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【ポイント①漫画原作資料をそろえる】
まず漫画の単行本は新刊が出るたびに15冊ずつ購入しています。単行本などの原作資料は集英社からもバンダイナムコエンターテインメントからも支給されるわけではありません。自分たちで何冊必要かを考えて購入しています。最初は(1999年当時)連載が始まった号の少年ジャンプから順番に毎号購入してずらりと並べて企画を作ってました。(弊社は少年ジャンプをはじめとした漫画誌を年間定期購読しているのでそれをそのまま使用しました。他誌は毎号1冊ずつですが少年ジャンプだけは2冊ずつ購入しています*福岡本社)単行本の1巻から10巻くらいまでは3冊ずつ購入していました。やがてPS2からPS3の開発規模に移行してからはチームの人数が50名を超え始めたのでおのずと15冊になりました。少年ジャンプは今でも過去8年分くらい保管してあります。これは単行本になった時に連載時とは違う形で掲載されることが(稀に)あるためです。連載時と単行本の内容(修正・加筆)を見比べて岸本先生がどこにこだわって修正をされたのかを探って分析・理解をします。

【ポイント②アニメ資料をそろえる】
アニメの設定資料はスタジオぴえろに発注して取り寄せてもらいます。これはバンダイナムコエンターテインメントを通じて毎回発注します。とはいえアニメの設定資料は膨大なので毎回“○○のキャラ設定をください”とか“何話の○○のシーンの美術資料をください”と具体的に指定して発注します。発注してスタジオぴえろから納品されるまでに2~3週間かかるので(それを見越して)前倒しで発注します。ただ、アニメの現場では全てのシーンの設定が作られているわけでもありません。登場回数が少ないシーンのキャラ(モブ)やエフェクトなどはその場で制作されていることも多いので“設定はありません。本放送を参考に制作してください”と返ってくる場合もあります。なのでTVアニメの放送は毎週録画しています。アニメのDVDが発売されたら1本ずつ購入しています。劇場版が公開されたらスタッフそれぞれで観に行って、後日発売されるアニメブックなども購入しています(5冊ずつ)。

【ポイント③コンセプトを考える】
弊社でキャラクター版権タイトルを手掛ける場合には必ずコンセプトを決めて制作を行っています。「キャラクター版権×コンセプト」というものです。ナルトの場合は「『NARUTO-ナルト-』×超アニメ表現」ということになります。『NARUTO-ナルト-』という版権をお預かりして資料をそろえてそのまま制作……という手法を取りません。必ずこういうコンセプトを組み合わせます。でないと“ただキャラクターが動いているだけのキャラゲー”になってしまうので最適なコンセプトと合わせて化学変化(融合)を起こします。“超アニメ表現”を実現するためにはTVアニメの『NARUTO-ナルト-』はもちろんですが、それ以外の国産アニメの研究も行います。3Dアニメーターにはサブモニターを支給してあって朝から晩までずっとアニメを再生して“気持ちのいいタイミング”や“美しいレイアウト”を体に覚えさせるようにしています。『エヴァンゲリオン』『グレンラガン』『鋼の錬金術師』『Fate/Zero』『ワンパンマン』『ノエイン』などの神作画回を中心にそれぞれの判断で繰り返し再生しています(再生するタイトルラインナップはそれぞれの判断)。制作作業を行いながらこれらのアニメがサブモニターを通して必ず視界に入るというやり方です。こうすることで“日本が誇るアニメにおける神作画をゲーム内のリアルタイム表現でコントローラーを触ってグリグリ動かせるという超アニメ表現のコンセプト”を実現しています。

キャラクター版権ゲームの作り方 ナルト編

ここからは後半戦。より専門的な話になっていきますがご了承ください。

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