第349号『世の中の不便はいずれ解消される』
「なんでこうなんだろう?もっとこうだったらいいのに」
日々を生きていると色んな場面でこう思わされることってあると思います。
それは電車に乗る時だったり、テレビを観てる時だったり、ゲームソフトを遊んでいる時だったり、お店でご飯を食べている時だったり。
それが大きいことであれ小さなことであれ、それらの不満や不便はいずれ解消されることになります。
なぜならば、それをこの世界ではニーズと呼ぶからです。
誰かが「不便だなぁ」と感じることを解消してあげるとそれは一気に「便利なサービス」に生まれ変わります。
だからそれがどんなことであれいずれ解消されるということなのです。だってそれこそがビジネスの根幹なのですから。
『誰かの役に立つ』ということが仕事になるのは今に始まった事ではありません。昔からそうでした。そうやってそれぞれの時代に合わせた『便利』をビジネスにしてきたわけです。
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現在のゲーム開発は臆病なほどいい
ゲームソフトの企画・開発を行う際にも全く同じ思想で仕事をしています。
世の中にはこんなにもエンタメ作品が溢れていても、ひとつも同じ商品が生まれないのはそれぞれのニーズに合わせて少しずつ商品力が異なるからなのです。(似たようなタイトルや商品はあっても厳密には異なるということ)
また作っている最中のゲームソフトなんかはその『不便・不満の塊』です。そりゃ作っている最中ですからね、未完成品なのですから。基本的にまるで面白くありません。
ゲームソフトの開発においては通常『α版』『β版』といってそれぞれの開発段階の進行度に応じた区切り(締め切り)が設定されています。
ゲームソフトの開発ではこういった『α版』『β版』のそれぞれの区切りの段階で、開発チームが改めて自分たちが作っているゲームソフトと向き合って直接プレイしたりして議論しながら、調整・修正項目を洗い出してより面白くするための作業を開発と並行して行うことになります。
「今の段階で面白くないのは当たり前、さぁ、ここからどうしていこうか、どうする?また面白くなっちゃうよ、このゲームソフト」
こんなポジティブな思考が求められるのがゲームソフトの開発なのです。
「なんで最初から先を見越して作らないんだ?いくらなんでも目線が低すぎるだろ?ダメなんじゃないか、このチームは」
そんなことを口にしたくなる気持ちもよくわかりますが、まぁそこは押さえてください。
だって現在のゲーム開発はあまりにも規模が巨大でチーム内に所属するゲームクリエイターの人数も多いので、必ず絶対に『想定外に上手くいかない事故』のようなものが発生してしまいます。必ずです。
それぐらい現在のゲームソフトは巨大で多すぎるほど様々な要素を抱えて設計されていますし、それが求められています。
だから大きなミスも小さなミスもちょっとした勘違いもすれ違いも毎日のように、なんなら毎時間・毎分のペースで起きてしまうのです。
だから責めちゃダメ。
「最初からそういうモンなんだ」という寛大な心をもってお互いを尊重しながら作っていかないとチームはいつだって簡単に崩壊してしまいます。
より良くするための工夫やアイデアはどんどん出していきましょう。
「もっとこうしたほうがいいよね、もっとアイデアは無い?他に不安な部分は無い?そう、臆病なくらいがちょうどいい、もっと慎重に大胆に誠実な意見を出していこう」
こういった時間を定期的に入れることが現在の長期間開発を前提としたゲームソフト開発の現場には求められるってことを改めてここで言葉にさせていただきました。(綺麗ごとではなく要するに現在のゲームソフト開発にはこういった定期的な振り返りの時間をあらかじめスケジュールに入れ込んでおくことが大切ですよ、って話です)
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さて、ここからは先日『ある企業の版権にまつわる面白い話』というものを耳にしたので、記事にしていきたいと思います。
たぶん世の中の人はほぼご存知無い話かもしれませんが、業界的には「なるほどね、そりゃそうかも」と納得できる話かもしれません。
ただやっぱり業界内では(ある一定のエリアでは)周知された事実かもしれませんが、あくまで他社の話なのでこっそりとお話させていただきます。(要するに内緒話だということです)
それでは張り切って(こっそりと)いきましょう!
『ガンプラ』には版元監修が存在しない
2021年4月からバンダイナムコエンターテインメントの常務取締役に就任された藤原孝史(ふじわらこうじ)さんと今年の春ごろに初めてお会いしてご挨拶しました。
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