第340号『チェイサーゲーム 完結』
ゲーム業界お仕事漫画『チェイサーゲーム』の連載が第58話の最終話をもって完結しました。
連載開始当初は“単行本が売れないと打ち切りの可能性もあります”なんて、みっともない記事をnoteに投稿したりもしましたが、なんとか無事に最後まで描き切ることが出来てホッとしております。
ただ、どうしても後半に行けば行くほどボリュームが増えてしまって2022年1月に発売予定の単行本の最終7巻は296ページになってしまいます。
1巻から5巻までがだいたい208ページで、6巻が256ページ、で7巻が296ページなので他と比べるとおよそ1.5倍の厚さになってしまいます。
当然ながらファミ通編集部とは原価計算をしながらページを決めていきましたので、まぁ多少値段が上がってしまうという点を除けばこのへんが落とし所だったかな、と思います。
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中には「連載は追いかけてなくて単行本で読んでます」という方もいらっしゃると思いますので、内容についての言及は今回は極力避けますね。
で、およそ3年間の連載を振り返ってみて私自身とにかく「楽しかった!」ということをお伝えしたいと思います。
漫画事業を始めようと思ったきっかけ
2016年にサイバーコネクトツーが20周年を迎えた時に「新たなビジネスとして自分自身が一番得意な分野で仕事の幅を広げよう」と思いました。
その時に(当然のように)頭の中に浮かんだのが「漫画、作ろう」でした。
幼少期の頃から漫画が大好きで、なんなら大学生になるまでずっと「将来は漫画家になる!」と思って漫画ばかり描いてましたからね。
ひょんなことからゲーム会社を作ってゲームクリエイターをやることになりましたが。(人生ってわからないものです)
で、20年ゲームクリエイターとして仕事をしてきて「もう漫画をやってもいいかな、許してもらえるかな」と思って社内外含めて「漫画ビジネスをやります!」と宣言して始めたのでした。
ぶっちゃけ言ってしまうと、社内外の多くの人が「ああ、また松山さんが趣味でやるのね」くらいの反応でした。
「いいか、見てろよ、ちゃんとビジネスとして漫画をやるんだ」
心の中でそう固く誓いを立てて「まずは自分自身でお手本を示さないとな、というかちゃんと実績を作らないと誰も振り向いてはくれないからな」と考えながら『チェイサーゲーム』を企画しました。
ゲーム業界お仕事漫画というバランス
「ゲーム会社サイバーコネクトツーで漫画を作って、その原作を松山が手掛けるのであればやっぱりゲーム業界を舞台としたお仕事漫画が最適だろう」
そう考えて企画しましたが、やはり気を付けたことは「ゲーム業界の人間にしか楽しめない作品にしてはいけない」ということでした。
だって漫画なんですから。
特別な知識が無くても誰でも楽しめる漫画作品である、ということは必須条件だと決めていました。
極力、世の中の働いて仕事をしている多くの人達が自分自身の仕事や環境と照らし合わせて共感できるということが絶対的な条件だと思ったからです。
なので、要素を『スケジュール・予算・締め切り・クライアント・採用・規制・人間関係・社内恋愛・キャバクラ・学校・友達・家庭環境・努力・夢・挫折・絶望・再起・悪・成敗・達成』という、どんな仕事にも当てはまるキーワードに絞って物語を構成することにしました。
そのおかげもあってか、漫画が公開後はずっと多くの方々から共感の声をいただきました。ゲーム業界の同業者はもちろんのこと、広告代理店や出版業界や全くの異業種の方々からも「いや、わかるよ、ウチの会社にも上田さんみたいな人いますよ!」なんて言葉をたくさんいただきました。(もちろん「ウチにもウオカワみたいなヤツがいますよ!」という声も)
やっぱりそういった反響や感想をいただけたことが嬉しかったですねぇ。
ゲームよりも反応が速い漫画制作
現在のゲームソフト開発は昔と違って『企画に1年・開発に3年』なんてことも珍しくなくて、とにかく企画してから発表・発売に至るまでのスパンが長くなってしまいました。
その点、漫画制作は超短期スパンです。今話し合って決めていることが2週間後には漫画として世の中に発表されてしまいます。そしてもう次の締め切りがやってきます。
私にはこの『短期スパン制作』というものが合っていたようです。というか、こういったライブ感というか、日々の読者の反応をリアルタイムに受けながら制作を進めるというのが性に合っている感じがしました。
もう、本当に楽しくて仕方がありませんでしたよ。
連載を開始したタイミングから、ざっくりとした構想というか構成は頭の中にボンヤリとはありましたが、やっぱり連載掲載後の読者の反応を見ながら内容に少しずつ手を加えていきました。
主人公が二人(龍也と勇希)いることや、『夢を追いかける追跡者の物語である』ということは全くブレずに最後まで芯を通していましたが、細かいところは実は色々と(当初の予定からは)変更しましたね。
そういった点も漫画連載の醍醐味ってやつですね。
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『チェイサーゲーム』という漫画を3年間連載してきて、振り返ると「とにかく楽しかった!」という感想しか出てこないのですが。
こうやって漫画連載を続けてこれたのも読んでくれて応援してくれた読者の皆さまのおかげでございます。
本当にありがとうございました。
『チェイサーゲーム』の最終話をご覧いただければ「シーズン1」が終わったことがわかるかと思いますが、では「シーズン2をやる予定はあるの?」と聞かれると「そんな予定はありません」と答えます。
要するに今後のことはなんにも決まっていません。
実は水面下で(『チェイサーゲーム』の案件として)動いているコトがいくつかあるのですが、まずはそれをしっかりと進めて皆さまにまた改めてちゃんとお知らせできるように頑張りますね。楽しみにしていてください。
そしてまずはサイバーコネクトツーとしてお届けする漫画作品の第二弾をしっかりと打ち上げていきますのでこちらも楽しみにしていてください。(第二弾は松山原作ではありませんよ)
サイバーコネクトツーはこれからも漫画を作っていきます。
「ただの趣味」と言われてしまわないように、しっかりとビジネスとして軌道に乗せながら実績を作っていきますのでどうぞよろしくお願いします。
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さて、ここからはそんな『チェイサーゲーム』にまつわる『今だからこそ話せる裏話』をお届けしたいと思います。
本来はね、原作コラム『デバッグルーム』なんかで書けると良かったんでしょうけど、やっぱり表では書けないこともいっぱいあるんですよね。
なので単純な制作秘話というよりも、たぶんきっと『笑える裏話』になりますので良かったら読んでみてください。
ただやっぱり内容がなかなかデリケートな話になってしまいますので、いつも通り他言無用&転載禁止でお願いしますね。
それでは張り切っていきましょう!
『チェイサーゲーム』今だからこそ話せる裏話
漫画『チェイサーゲーム』の掲載媒体はファミ通ドットコムでした。当然ながらゲーム業界のニュースを届けるウェブサイトです。なので編集担当も付いてますが毎回ほぼ手探り状態での進行でしたね。
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