週刊少年松山洋_タイトル_修正

脚本家って必要ですか?

“脚本家って必要ですか?”

突然ですが、そんな質問をいただきました。

さすがに質問の意図もわからなかったのでこう返しました。

“??どういう意味ですか?”

すると具体的な質問が出てきました。

“オリジナル作品の脚本をゼロから書くのは理解できます。けど、世の中にはマンガや小説などの原作をアニメ化したり映像化したりゲーム化したりするじゃないですか。その時って原作のとおりにすればいいだけなので脚本家ってやること無いんじゃないですか?それなのにギャラを同じように貰えるんですか?”

なるほど、意図が見えてきました。

実に素朴というか(素人的というか)、いや、まあ、わかりますよ、そう思われてしまう悲しさを私は知っていますので。

では、脚本家の方々に代わって私がお答えします。

結論から言うと(絶対に)必要です。

まず、質問者に根本的なことから順に説明しましょう。

そうですね、何から何まで全部を説明は出来ないですし、例え説明したとしても情報量が多すぎると逆に理解しにくいと思いますので、条件を絞った状態で話をしましょう。

マンガ原作があって、それをテレビアニメ化するパターンがありますよね?

いや、もっと具体的にイメージしやすいように『NARUTO-ナルト-』を題材にしましょうか。

『NARUTO-ナルト-』は漫画原作です。

それをテレビアニメでは1話30分で放送していました。

オープニングやエンディングなどを除くと本編はおよそ22分くらいです。

だいたい22分のアニメを作るのに必要なカット数というのは平均300カットと言われています。(あくまで平均ですよ。話数によっても作品によってもカット数は変動します。が、だいたいカット数が増えると予算が増えるので少しでも抑えるように作られます。その目安が300カットということですね)

原作漫画をテレビアニメ化する際には、だいたいアニメ1話につき原作漫画3話分を消費して制作します。これはテレビアニメが原作に追いついてしまわないようにすることと、昔のアニメのように中身のない引き伸ばしアニメにならないようにするためです。

原作漫画の『NARUTO-ナルト-』は1話17ページで連載されていました。

3話分ということは17×3=51ページ。

51ページでテレビアニメ1話分ということですね。

では更に分解していきましょう。

『NARUTO-ナルト-』はだいたい各ページおよそ5コマくらいで描かれています。これもアクション回になると途端にコマ数が減りますが、あくまで平均だと思ってください。

51ページがそれぞれ平均5コマで描かれているということは、51×5=255コマということになります。

はい、ここです。

テレビアニメは漫画原作の255コマを使って、300カットのアニメーションにする(膨らませる)必要があるわけです。

255コマの内容をどうやって300カットに膨らませるのでしょう?

そうです、ここで脚本家の出番なのです。

脚本家って必要ですか?

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