見出し画像

ゲーム業界志望者の不合格理由2023④

ゲーム業界志望者の不合格理由2023④
-プログラマー編-

シリーズ最終回となる今回は『不合格理由-プログラマー編-』です。

まずは上の動画を見て欲しいです。サイバーコネクトツーのプログラムセクションのマネージャーが新卒者向けの説明をしている動画です。

基本的なプログラマーの仕事の内容や使用しているツール、一緒に働くプログラマーに求められる人物像などを説明していて基礎的な情報はこれを見るだけで理解できるようになっています。

また合格した人間(弊社に入社した新卒者)の応募時の作品を紹介しつつ、どういった点が評価ポイントになったのか?という部分も全部説明してくれています。

本当にこの動画を観るだけでも「なるほど、合格ラインはこのへんか」とやるべき目標レベルが理解できて非常に勉強になると思います。

なのでぜひ観てください!

*****

さて、今回の『不合格理由-プログラマー編-』では更に(主に)不合格理由から最新の傾向を学んでいきたいと思います。

この1年のプログラマーの合格率はおよそ4%でした。(プログラマーの応募総数173件のうち合格者は7名)

相変わらず狭き門になってしまっていますが、実はゲームデザイナーの合格率2%、アーティストの合格率3%という結果と比較すると少しだけプログラマーの合格率は高いようです。(わずかですが)

それでも多くの人が不合格になってしまっているということは紛れもない事実です。

では、プログラマーにおける不合格理由がいったいどういった内容なのか、順に紹介していきます。

全部で10項目ありますよ。

*****

不合格理由①ゲームが単純に不出来

身も蓋も無い話ですが、不合格になってしまうプログラマー作品の多くが当たり前の事を当たり前に作っていない&単純に出来ていない=不出来ということが多いです。

例えば3Dアクションアドベンチャーでステージの中を自由に探索するタイプのゲームなのに、なぜか操作方法が初期『バイオハザード』のようないわゆるラジコン操作になっていたり、といった具合です。

「なぜ今どきこの操作方法を!?」とこちらが驚くことが多いです。

理由を聞いても「特に理由はありませんが、駄目ですか?」と聞き返される感じです。

「駄目で、は、無い、けど……いや、考え無しに作っているのでやっぱり駄目ですね」

こう答えるほかありません。(なので不合格です)

*****

不合格理由②理解して作っていない

また3Dアクションゲームで剣を使って敵を攻撃するゲームでも、ボタンを押すたびにひとつのモーションが再生されていくらボタンを連打してもひとつのモーションが最後まで再生される、というパターンなどがあります。

これはいわゆる『モーションキャンセル』を実装していないから起きている現象なのですが、市販されている楽しくて気持ちがいいアクションゲームをちゃんと研究してその構造を理解せずに作っているということです。

まず開発者を目指すのであれば、市販されている多くのゲームソフトの中で当たり前に実装されている仕組みくらいは理解しておく必要があります。

あと、こういった傾向が最近になって妙に増えた原因に「『ダークソウル』のようなゲームが好きなのでそれを目指して作っています」という人が実に多いというのがあります。

『ダークソウル』シリーズや『エルデンリング』などの歴史的大ヒットによってああいったタイプのゲームを作ろうとする人がこの数年で実に増えました。

もう言葉にしてしまいますが、「簡単に『ダークソウル』を作ろうとするな、身の程を知れ」ということです。

とんでもないテクノロジーと数十年におよぶ研鑽と積み重ねの上で成立している奇跡のゲームデザインを見様見真似で作ろうとしている点がただの無謀にしか見えませんし、実際にただの考え無しの無知者だと思います。

現になにも再現できていないどころか、ただの不出来なモッサリアクションしかできない痛いゲームにしかなっていません。

目指すべきターゲットタイトルの選定を間違えるといつまでたっても辿り着けませんので、もっとわかりやすく王道で制作難易度が低い作品から研究するようにしましょうか。

*****

不合格理由③難易度調整不足

ただデータを入れておしまい、それで「出来た」と思っているような作品がたまに送られてきます。

ゲームを開始して2秒から3秒で死んでしまうような作品のことです。

「一度でいいから誰かに遊んでもらいましたか?というか、自分でプレイしましたか?あ、それはやった?そして自分では死なずにプレイ出来る?うん、そうかもしれないですね、だって制作者なんですから。けどこれ、誰も最後まで遊べないですよ?」

「そういうゲーム性?2秒ですぐ死ぬこのゲームが?それが狙い?ふざけるんじゃあない!そんなもんはゲーム性とは言わん、なにが楽しいんや!?ゲーム性なんて便利な言葉で誤魔化さないでください」

要するに、赤の他人に遊んでもらっていないからこんなことになるんです。

誰だって開発者は自身が手掛けたゲームソフトの全容を当然ながら把握されていますからね。

(これはプロでも気をつけなければならないことですが)基本的にお客様は赤の他人であり全てが初見でそのゲームソフトを遊ぶことになりますので、常におもてなしの心を忘れないようにしましょう。

*****

不合格理由④UI・エフェクト・SEが無い

要するに未完成ということです。明らかに制作途中の段階で「もう時間が無いので送りました、現状のもので評価してもらえますか?」という感じで送られてきます。

評価はしますが、決して合格することはありません。

酷い時は画面上部にデバッグメニューが表示されたままだったり、タイトル画面も無ければリザルトも無くて「終わりが無いゲーム」が送られてくることもあります。

小規模で構いませんしプレイ時間は短くてもいいので、ちゃんと『ゲーム開始』から『ゲームクリア』までの起承転結フローが実装されたゲームを送ってきてください。

*****

不合格理由⑤C++を理解していない

ここから先は

2,783字

¥ 300

良かったらサポートいただけると嬉しいです。創作の励みになります。