第383号『ボロボロになったところに家は建つ』
モノ作りをしているとその工程には様々な段階が存在します。
しかし必ずと言っていいほどに避けて通れない段階というものが存在していて、それは絶対に一定のダメージを伴うものだったりします。
ダメージなんて言うとよくわからなくなるので、ハッキリとストレートに表現しますね。
漫画でもアニメでも映画でもゲームソフトでも、なんでも。
全ての作品は誰か1人のアイデアからスタートすることが多いです。
複数の人間でアイデアを出し合う事はあっても、その源流となるアイデアはやはり個人の誰かだったりすることが多い。
みんなでアイデアを出し合う行為とは、そのアイデアに対して抜けが無いか?もっとより良くする為にできる事はないか?というカタチで肉付けしていく感じになります。
だから、やっぱり最初は個人のアイデアから始まることがほとんどなのです。
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アイデアのはじめの一歩は理解されない
そしてそのアイデアのはじめの一歩というのは、赤の他人にとっては理解されないことが多いです。
初めてその個人の口から発射されたアイデアはその時に初めて文字通り最初のジャッジを受けることになるのです。
「うん、何言ってるか意味がわからない」
周りからそんな反応を示されることもあるでしょう。
別に口頭のミーティングに限った話ではありません。
小説のプロット脚本だったり、ゲームのアイデア書だったり、漫画のネームだったり、色んな作品の元となる原型のようなものは荒削りでアイデアとしても煮詰められていないことが多いです。
そりゃ原型なんですから、そーゆーもんです。
そこから膨らませていければいいのです。
けど、全くもってまるでダメな時もあります。
全否定どころかひとつも少しも1ミリも誰にも理解されないなんてこともあるのです。
いや、むしろアイデアの原型段階ではそう言う反応を他人から貰ってしまう事は決して少なくありません。
それくらい個人のアイデアというのは他者には理解されにくい独りよがりなアイデアであることが多いということです。
アイデアとは人間1人の内宇宙から生み出されるのですから。
外宇宙の人間には理解されにくいことでしょう。
クリエイターの多くが最初に傷つくのが実はこの段階だったりします。
何年やっても何度やっても何度やっても同じです。
アイデアを見せたり伝えたりした時に驚くほど伝わってない響いていない理解してもらえていない、そんな瞬間は必ずあります。
そしてしっかりと傷付きます。
何度やっても慣れなくて悲しいことです。
まるで自分自身を全否定されてしまったような気分になります。
そりゃそうです、自分の内宇宙から飛び出した極上のアイデアや意見を伝えたつもりなのにそれを全否定されたんですから。
自分という個を否定されたようなものです。
心の底から悲しい気持ちになります。
「だからまだ誰にも見せたくないんです」
多くの人がそんなことを考えます。
「まだ早い、もう少し煮詰めてから」
「もう少しちゃんとカタチになってから」
こんな思考になる気持ちも確かによくわかります。
しかし!
この最初のダメージこそが、クリエイティブにおいてまず最初に突破しなければならないダメージだということです。
ボロボロになったところに家は建つ
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