外伝カット

『チェイサーゲーム 外伝 -破邪の封印編①-』

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これは漫画『チェイサーゲーム』の外伝シナリオになります。

単行本出版時に描きおろし漫画として掲載予定の原作を先行公開するという暴挙企画です。(たぶん一番驚いているのは今コレを読んでいる漫画家・松島幸太朗とファミ通編集担当だと思います)

今回の『外伝』は漫画『チェイサーゲーム』に登場するウオカワ(魚川貴央)を主人公とした物語です。

どうやって“彼”が誕生したのか?

ひとりのゲームクリエイター誕生の物語です。

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チェイサーゲーム 外伝 -破邪の封印編①-

魚川貴央(うおかわたかひろ)の家庭は決して裕福ではなかった。

父は兵庫県神戸市にある市場の露天商を営み、ミックスジュースと焼き芋の販売で生計を立てていた。市場を訪れる観光客を相手に新鮮なフルーツを使ったミックスジュースを飲んでもらい、焼き芋を食べながら市場を闊歩してもらう。それだけで良かった。

父は木訥(ぼくとつ)でまじめな性格ではあったが、同時に母はそれが気に入らなかったようだ。

母は露天商を手伝うことをせずに自身で事務のパートで働き独自に生計を立てるようになった。

そして二人はやがて離婚することになった。

魚川貴央には4つ下の妹がいた。

二人の兄妹は母のもとで生活をすることになった。

“妹は自分が守る”

そう誓った後は、仕事で家を空けがちな母に代わって妹の世話は魚川貴央自身が積極的に行った。炊事・洗濯だけに限らず妹につきっきりで勉強も教えた。魚川貴央は子供のころから成績が良かった。物事を冷静に分析しなんでも素直に吸収する性格は勉強との相性が良かったためである。

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