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あたらしい旅。あたらしい仲間。これからの自分らしい旅のかたち。

床に横たわる開けっぱなしのスーツケース。旅行用の歯ブラシや化粧品。
発信できていないカメラロールの思い出たち。
旅の余韻を横目に、あっという間に明るんでくる空を眺めながら、ぽつりぽつりと浮かんでくる言葉たちを、今ここに書き留めている。


POOLOという旅好きが集まるコミュニティに入って9ヶ月。ついに先日、3期の卒業を迎えた。

旅を再開させたくて、新しい旅の形を探したくて入ったPOOLO。
今回は、旅への意識の変化を綴る。

元医療従事者である責任と旅への罪悪感。

学生時代を含めると15年の歳月を医療の世界で過ごした私は、交友関係もやはり医療系が多かった。
仕事の悩みも、勤務形態も、医療業界は少し特殊だろう。だからこそ、医療系の仲間内では理解しやすい。一緒にいるのが楽だった。

仕事は全力投球。連休をもぎ取っては、旅に出る。気の知れた仲間と共に。
そんな日々も、楽しかった。

でも、私はもっと世界を見たい。
だから世界一周に出ることを決め、そのときに向けて仕事を徐々に収束させ、着々と準備を進めていた。

思い描く未来が一変したのは、新型コロナウイルスの蔓延。
外出が制限される日々。海外旅行なんて到底叶わなくなった。
世界一周も、遠くに霞んで見えた。

私は当時病院ではなく薬局で働いていたこともあり、勤務量も減らしていたので、仕事として直接的にこの未曾有の感染症に対峙した訳ではない。
それでも、病院に勤める友人からの悲痛な叫びを聞き、何かできることはないかと気を揉んでいた。
私にできることは、正しい情報の収集と発信、そして自分自身が感染しないことぐらいだったけれど。

今は非常事態。感染拡大が収束するまでの我慢だ。そう言い聞かせた。
感染予防対策を講じた上での外出や旅行の制限が緩和されていく中、医療従事者はずっと厳しい状況で制限されている。
一体いつまで頑張れば良いのか。先の見えない不安は募るばかり。

外出するのに、罪悪感が芽生えた。頑張っている人がいる中で、自分だけ楽しい思いをしていることに。
常に怯えていた。感染して誰かに迷惑をかけてしまうことに。
私は、新しい出会いを避けるようになった。
信頼できる人とだけ、こっそりと会うようになっていた。

これからはきっと、今までの関係性の密度を濃くしていくフェーズなんだ。
それは嘆かわしいことではなく、きっと素敵なこと。
当時は特に言い聞かせる訳でもなく、自然とそう考えていた。

旅が足りない。

ニューノーマルな生き方を模索し、おうち時間を充実させるようになった。
地球にやさしいものを、意識的に選ぶようになった。
自己分析をし、自分が本当にやりたいことも見つかった。

凪のような日常。穏やかで、居心地の良い日々。
でも、何か足りない。
旅が、人生のスパイスが、足りない。

私は知っている。人生はいつか終わることを。
今を生きなければ後悔することを。
治療法がない父の病と死に向き合い、生きる意味を否応なしに考えた私は、そのことを理解しているはずだった。なのに。

私はちゃんと、今を生きている?
このまま人生が終わったら、後悔しない?

この予測不能な世界の中で、どうしたら豊かに生きられるのだろう。
なぜ私はこうも旅に惹かれるのだろう。
今の穏やかな日常と、やりたいことと、旅と。すべて叶えることはできないのだろうか。

そんな思いがぐるぐると頭の中に渦をなしていたとき、出逢ったのがPOOLOだった。

数年間閉ざされていた旅の再開は、新しい仲間と共に。

新しい仲間。新しい学び。
好奇心旺盛な私は、新しい出逢いに胸をときめかせ、不思議と気の合う仲間達がいるこのコミュニティに、どんどん魅了されていった。
旅がまた、始まった。

新しい仲間との旅は、今までとは違う色をしていた。

仲間の住む場所に会いに行く旅ー淡路島
今後の未来を創る取り組みを学ぶ旅ー徳島県上勝町
予定を決めずに現地を楽しむ旅ー長崎県

観光名所に行かなくたって、リッチな宿に泊まらなくたって。
仲間と対話して、くだらないことで笑い合うだけであたたかい気持ちになるし、
現地での新しい出逢いに胸が高鳴った。

大人数の旅に飛び込んで行くこともあれば、
毎年行っているとっておきの場所に、他の期のPOOLO生を誘ったこともあった。


数回しか顔を合わせていないはずなのに、すぐに打ち解けた。
まるで昔から知っていた仲間のように。

正直、医療従事者をはじめとする、外出が制限されている方々への罪悪感は完全に消えた訳ではないけれど。
心からの敬意と感謝を胸に、私は今を豊かに生きたい。その分、もっと社会が豊かになるように還元していきたい。そう思えるようになった。

幸せで満腹。余白の足りない いま。

POOLOに入り、月に1回程度は旅に出るようになった。
今の9ヶ月は特別だからと夫に懇願し、旅にもイベントにもなるべく参加した。全力で参加したかった。
卒業前の1ヶ月は、特に悔いのないように駆け抜けようと、毎週旅やイベントに出かけた。

大好きな仲間と語り合い、その土地の空気を味わい、青春して、本当に最高だった。

でも、気持ちが外向きのまま時が流れ、なかなかうまく言葉にできない。
感じたことを咀嚼できずに、消化不良のままどんどん溜まっていく。
まるで、毎週誕生日のお祝いをしてもらい、ずっとご馳走を食べたりプレゼントをもらっているように。

正直、かなり疲れている。幸せ太りならぬ、幸せ疲れだろうか。
もちろん心地の良い疲れだけれど、身体は正直だ。旅の後2日間ぐらいは泥のように眠り、家事をこなす日々を繰り返している。

POOLO入学のときに書いたnoteには、こう綴っている。

今のわたしには、昔のように常に仕事をして旅をして、という忙しない生き方は、もう合わなくなっている。
日常と非日常、そして日常の中にあるちょっとした非日常。
そのバランスをどうしていくか。

日常に帰ってきたときの暮らしの豊かさ、「とっておきのおひとりさま時間」を確保しながら、どうやって旅という非日常を満喫するか。

とっておきのおひとりさま時間と旅と。


かけがえのない仲間との旅が楽しすぎて、今の私には余白が足りない。
自分の中で完結してしまって、旅の経験をまだ社会に還元できていない。
日常と非日常のバランスが取れていない。
POOLOの目指すニューノーマルトラベラーとしては失格だ。

ただ、後悔は全くしていない。この9ヶ月は自分にとって特別で、POOLOをやり抜くと決めていたから。
仕事がない今の自分だからこそ、できたこと。

でも、私はこれからも、持続的に旅をしたい。最高の仲間たちと、そこから繋がる出逢いを大事にしたい。
だから、旅の予定を詰め込みすぎるのは、これで卒業だ。

旅と余白と。

旅は素敵だ。たくさんの刺激がある。
仲間は素敵だ。たくさんの愛がある。

旅をすると、どうしても時間が惜しくて、別れるのが名残惜しくて、最後の1秒まで楽しみ尽くしたくなる。
余白の時間がもったいなく感じてしまう。
でも、自分の心と身体を大事にしよう。もっと労ろう。自分を豊かにしてはじめて、周りに目が向けられるのだから。


旅から日常に戻る前に、余白の1日を作ってみる。
そんなメッセージを込めて、チームのメンバーとInstagramのアカウントを作った。

結婚の条件でもあり、ずっと夢見ていた世界一周も、やめることにした。
私らしい旅の形の解像度が上がった。

しなやかに、自分らしく、旅と付き合っていきたい。
これからも、仲間と共に。

たくさんの気づきをくれたPOOLOに、心からの感謝を。

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