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うつわを変えるだけで、日々の暮らしがちょっと豊かになるー民藝の魅力ー

毎日のようにSNSで流れてくる、丁寧な暮らしをしている人たちのおしゃれな写真。美味しそうなおうちごはん。
「いつかはこんな暮らしがしてみたい」と思っていても、仕事や家事が忙しく、なかなか思い描いているような理想の日常を送れない。
美味しそうなレシピはとりあえず保存しておくけど、今日も疲れたしコンビニのごはん。
理想と現実のギャップに、なんだか疲れも倍増している気がする......。

こんな経験、みなさんにもありませんか?
わたしは美味しいものを食べることが大好きですが、仕事のある日は疲れて料理をする気になりません。とりあえずコンビニで何か買って済ませる、なんてことも多々あります。

でも、たとえコンビニのごはんでも、食べる時間が少しでも豊かな時間になったら、ちょっと得した気分になるのではないでしょうか。
今回は、そんな忙しい暮らしの中にもちょっとした工夫をすることで豊かさを感じられる、うつわをはじめとした「民藝(みんげい)」の魅力についてお伝えします。

小説『リーチ先生』との出逢い

わたしが民藝と出逢ったきっかけは、『リーチ先生』という原田マハの小説。イギリス人バーナード・リーチが、西洋と東洋の文化の架け橋になろうと来日したことから始まった日本人との関わりを通し、陶芸に心を奪われ陶芸家として功を成すまでが描かれています。

(原田マハの「アート小説」は、実在していた人物を登場させ、フィクションとノンフィクションを絶妙に融合させることで、その時代にタイムスリップしてしまったような感覚になれる本。おすすめなので、お時間のあるときにぜひご一読を!)

産業革命以後イギリスでは、「アーツ・アンド・クラフツ運動」が巻き起こっていました。
工業製品が大量に生産され、安くて手に入れやすいけれど粗悪な商品が市場に出回るようになったことを憂いたウィリアム・モリス。彼は職人による手仕事を賞賛し、美術と工芸が一体化した丁寧で美しいもの作りへの再評価を推し進めたのです。

この考えに感銘を受けた、小説の登場人物のひとり柳宗悦は、名もない職人が作るうつわや日用品のことを指し示す日本語がないとことに気づき、「民衆の中の芸術」や「民衆的工芸」という意味で「民藝」という日本語を生み出しました。

陶器に興味を持った理由について問われ、リーチは言います。

「とても美しいうえに、これは、実用的なものだろう?もちろん、飾るために作ったものかもしれないが......器として使うこともできる。見ても美しくて、さらに実用的だなんて、すばらしいと思わないかい?」

美しくて実用的な芸術品。
この言葉に、わたしはハッとしました。
芸術品といえば、美術館に飾っているような有名な画家が描いた絵画や、コレクターが集めている何億、何千の値がつく壷や掛け軸をイメージしてしまうけど、もっと身近にあるじゃないか。そう気がついたんです。

コンビニごはんの気分が変わるうつわの魅力

わたしは当時、うつわにそこまで興味がありませんでした。手元にあったのは、100円ショップなどで買える、安くてそこそこ使い勝手の良い、割れても代用がきくものがほとんど。

でも、その身近なうつわが、もっと心からときめくものに変わったら?
このうつわに何をのせよう。この料理にはあのうつわが映えるかな。このお花はこの前買った花器に飾ろう。
そんな風に思いを巡らせると、とっても豊かな生活になると思いませんか?

「そうは言っても、なかなか丁寧にごはんを作る時間がない!」
そこでおすすめのうつわの使い方は、「コンビニごはんでも、ときめくうつわに盛りつけてみる」です。

今まで、当たり前のようにプラスチックの容器のまま食べていたコンビニのごはん。
仕事帰りに疲れて自炊する気力がなくても、コンビニで買ったものをお気に入りのうつわに盛りつけるだけで、ちょっと気分が上がります。

たとえばこの写真は、コンビニの食材と家にストックしてあるものだけで盛り付けたごはん。(ゆで卵だけは自分で作りました)

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ありあわせでも、素敵な気分になりませんか?

うつわを購入するおすすめの場所

では、実際どこで買えばい良いのか。個人的にいちばんのおすすめは「陶器市」です。

全国各地で毎年決まった時期に、陶芸の作家さんが集まりテントで販売をするイベントが開催されています。さまざま様々な作家さんたちの作品を見れるので、作り手と実際にお話しすることもできるのが魅力。自分の好みがまだわからない方は、冒険気分でめぐって好みのものを見つけてみてください。宝探しのようでわくわくしますよ。

今は新型コロナウイルスの影響で移動が難しい状況なので、オンラインで陶器市をやっている場所もあります。

まとめ

毎日忙しくても、少しの工夫で、気分だけは変えられる。

美しくて実用的な芸術品である「うつわ」は、豪華な料理を乗せるだけのためのものではありません。普段のちょっとした日常にも登場させれば、きっと豊かな気分にさせてくれます。

民藝にはまだ、はっきりとした定義はありません。みなさんも陶器市などをめぐって、お気に入りのうつわを、みなさんにとっての民藝を、ぜひ見つけてみてください。


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