2.どこを切り取っても幸せな人生を送りたい。【starとshore】
Auroraは幸せになりたいと願いながら
息子と娘と談笑していた。
談笑というより、大爆笑をしながら話していた。
この大爆笑はこの家ではいつもの事なのだ。
笑いながらAuroraがお風呂に入ろうとした時だった。
娘のstarがみんなの寝室を温め、進んで夕食後の食器を洗ってくれている。
息子のshoreは次の日の学校の準備をしながら
『僕って前世絶対お坊さんだった。だって今こんなに幸せなんだから!』と
starが
『ママ聞いた?僕って今幸せなんだって 笑』
劣等感で一杯のAuroraは
(こんな小さな家なのに?シングルなのに?自分の部屋もないのに?私は心を患っていていつも悲しい顔をしているのに。疲れすぎて頑張る事ができないのに…こんなにダメダメな母なのに…太ってきて以前のキラキラしていた私とはかけ離れているのに…そこへ産まれて幸せだと思ってくれているの…?)
子供に気づかされ、カラカラの心が満たされる。
幸せなのは私の方だ。
私は自尊心が低く自信がない。
それをカバーする様に自信があるように振る舞う。
けれどカバーしきれる訳もなく。
いつも焦っている。
数ヶ月先までは収入はあるけど、それ以降はどうしよう。
こんなはずじゃなかった。。
と感じる反面
小さくても都心の新築の家に住んでいる。
家族はみんな仲が良く、starは地に足がついていて自分を美しく磨き上げ、好きなものに囲まれ、どんどん願いを叶えながら自分の道へ向かっている。
shoreも
友人が多く、大人からも信頼が厚く、文武両道。また見た目も美しくユーモアに富んでいて心が優しい。
母のAuroraだけが
この子達を幸せにしなきゃ。と必死なのだ。
この
幸せに…とはお金を稼がなきゃ。という意味が大半を占める。
Auroraは以前自分で会社を起こし成功していた。
体調を崩している間にそれが今、元夫の手中にあり手が出せなくなってしまった事。
けれどもうそこに未練はないのだが、
強烈な成功体験が今のAuroraを縛っているのだ。
以前のようでないと
《その力がない。人の世話になっている。》
と言われているようで自尊心が保てないのだろう。
Auroraの周りは人を咎め、責める事で自分の位置を確認するような人たちで溢れていた。