浴びる日の光、ここからの現実―豪雨災害のこと―
ニュースで知っていらっしゃる方もおられようが、
我が県、我が市でも起こった大雨災害に関して、書いていこうと思う。
身バレをしたくないのだが、この記事でほぼしてしまうかもしれない。
なまはげ県の県庁所在地だ。
私は、家も命も無事だった。
本当に奇跡だと思う。
前回の記事、大雨が降り続く真っ只中でのことを書いたのだが、
外に出られるようになり、近所を歩いてみると、
やっぱり、何事もなかったのは奇跡でしかなかったなと、、、、、、
苦しいほどに痛感した。
7月15日、16日
の土日2日間ずっと、激しい雨が降り続いた。止まない。
スマホからの大きな音が響き渡り、”○○川が氾濫”、などの警告が出るたびに、心臓がばくばくした。
”○○川”と一口に言っても長い(広大な県内一体を流れている)ので、その川のどの辺が大変なのかもわからないし、見にもいけない。
TVでは、L字型にずっと大雨情報が出ていて、避難指示が出ている地域、町内名が流れている。
我が市内でも、本当にすぐそこ(実家暮らしなので小中学校の学区内)の住所が、、、、、、
”◇◇◎丁目”の、”◇◇”は我が家の住所だ。
その、我が家以外の”◎丁目”の多くが、避難指示を受けている。
何度も窓から家の外を見たが、まだ地面が見える。
大丈夫、なんだよね?
土日の、少ないTVでの地域ニュースの中で、
みたことのある景色が変わっているさまを見ては信じられない気持ちでいた。
駅前の、川沿いの大きな通り。
歩道が、川に向かって崩落していた。
その川は、いつも水量が浅くて水がきれいだ。
(前回記事の見出し写真の川)
嘘みたいだ。
アンダーパスはもちろん、駅の近くの大きな地下道が浸水。
Yahoo!天気や災害マップを見ても、今どこがどうなっているのかよくわからない。
Twitterより情報を収集するしかなかった。
17日、海の日(祝日)。
午後、諸々の警報、雨もようやく落ち着いたので、
いつものウォーキングコースである、川沿いを歩いてみた。
まずは、神社にお参りしてから。
我が家の無事に感謝。
、、、、、、でも、
やはり、川沿いに差し掛かると、現実がそこにあった。
歩道には、クーラーボックスのようなものやタイヤ、説明できないけれど雑多なものが落ちていて、桜の木に立てかけてあって。誰かが寄せたものだろう。
”ああ、やはりこの川は溢れたんだ”、とわかった。
川沿いの散歩道より低い位置、もしくは同じくらいの高さに立っている住宅に住む方々が、一階部分のドア、窓を外して、家具を外に出している。
これ、TVで観る光景だ、、、、、、
という衝撃。
いや、想像はしていたが、実際、目にすると、、、、、、
鬱病弱小メンタルの私は、みんなが家をどうにかしようと働いている姿が、自分を責める気持ちに変わってしまう。
私は暢気にここを、何の用もないのに歩いているだけ、、、、、、
同じ川沿いでも、いつもは気が付かないその家の土地の高低差によって、浸水した家もあればそうでない家もあるようだった。
とくに、歩道より低く、坂のようになっていてその先に公園や住宅がある、という場所は、確実にやられていた。
家を建てるときは、立てる土地の高さ、そして一階部分に高さをもたせるのが安全だよな、と改めて思うなどした。
しかし、川があるとかないとかに関わらず、市内中心部の駅前周辺、その他の地域でも、浸水被害が多く出ていた。
どうやら、川から直接水が溢れるというだけでなく、雨が降り続いて排水が追い付かなくなったことで排水溝から水がが逆流し、地上にたまり続ける、その水が低い土地へと流れていく、、、という形の
”内水氾濫”というものが起きたらしい。
また、今でこそ住みやすく人気の住宅地である、とある地域一帯が、広範囲にわたり水害被害にあった。
その昔、その地区は広い田んぼだったらしく、そこを埋め立てて作った低い土地だったため水が溜まりやすく、しかも近くの川の氾濫もあって、大きな被害になったという。
青い空、日差しがようやくさしたのは、
20日の木曜日。
ちなみに、これ以上の被害は写真に収めることができていない。
よそ様の住宅を撮れないし、この深刻な事態に興味津々な感じになるのは嫌だ。
21日(金)。
躊躇していた、駅前にある病院への通院に行くことにした。
ネットでは、その付近は被害情報がなかった。
あまりの暑さで、母が車で送ってくれることになった。
我が家から車で駅前に行くまでの道中は、浸水被害のあった地域だな、、、ということは把握していたが、
とあるコンビニが全滅のようで、棚から何から外に出していた。
ひとつ手前のコンビニは、通常営業だったのに。
その先から、家々の玄関前に家具を出している状況が続く。
水没した地下道に続くエリアだ。
これからの生活、家も店も、大変なのだろうな、、、、、、
病院は空いていた。
診察後、薬局へ行き、電車の時間が合わなかったのでバスで帰ろうと思った。
バスは、いつものルートだと崩落した川沿いの大通りを通るので、
進路を変更して運行することは知っていた。
バスに乗ると、運転手さんからそうアナウンスがあった。
いつもと違う道を曲がり、とあるバス停まで停まらずに走る。
その道が、店舗が多数並ぶ通り。
ここも、浸水被害があったようだ。
店の中の椅子やテーブル、和菓子屋さんの棚など、たくさんの家具や商売道具が外へ出ている。
晴れたから、とにかく乾かしているのだ。
そういう道が続く。あの店も、この店も。
近くにある総合病院が、浸水により救急患者の受付ができないというのはニュースで知っていた。
その後、通常通りのバス通りに入ったのだが、私の住んでいる町内にたどり着くまで、被災ゴミが詰まれた場所、家の1階部分の片付けにあたる方々、故障した自販機、、、とにかく、いつもと違う、無事ではない光景が続いた。
とにかく、私の家の近所にたどり着くまで、ずっとその景色だったのだ。
少し出かけるだけで、まるで、我が家の周りと全く違う世界であることを痛感する。
どれだけ、我が家の周りが恵まれていたか。
愕然とし、複雑な思いで、鬱病メンタルは疲弊した。
そして、
最近親とうまくいかず一人暮らししたい欲がでていたが、
もし、私が今ひとりで生活していて、家が浸水してしまったとして、
現在の鬱状態では、何からどうしていいのかわからず、おろおろするだけで確実におかしくなっていたな、、、、、、
と、思うなどした。
きっと、誰もが浸水被害に遭って平気なメンタルなわけがないのだろうけれど。
その日の夕方、家の近くの、ウォーキングコースとは別の方の川沿いを歩いてみた。
いつも大雨が降ると避難の呼びかけがある地域。
見た感じ、橋のお腹まで水につかったな、という感じはするのだが、その付近の住宅は、どうやら大丈夫そうだった。
畑の野菜や花が、無事だった。
ここは溢れることはなかったのだろう。
近くのドラッグストアに入っても、浸水した様子があまり感じられない。
私がLINE登録している店で、7月15日の営業見合わせのお知らせ(緊急安全確保が発令されたため、と)がきていたので、心配していた。
数日前訪れた同じチェーンの別店舗では、棚の下段の商品がなかったり、段ボールがしめっていたりと、浸水の影響が感じられた。
LINEでのお知らせはなかった。どこが浸水するのか、事前に把握できない状況だったのかもしれない。
我が地域、我が市内は、災害が滅多に起きない。
”平成18年豪雪”はすごかったし、近年もどかんと雪の量が増えたりし生活に支障がでたりはしているが。
東北だけれど、3・11に関しては”被災地”とはとても呼べない。
2、3日の停電で済んだので(私に関しては)、、、、、、
日本海側は、太平洋側と全く違うのだ。
でも、今回の豪雨に関しては、天気図をみても我が県を狙って集中して異常な量が降ったことがわかる。
私にできることを考えても、
鬱病メンタルだし力もないし無職でお金もないし、
いつも利用する”Yahoo!募金”に、Tポイントで募金したいなと思った。
でも、
”秋田県の豪雨災害”の項目はまだない。
時間がかかるのか。
まだ、市内の被災状況を全て把握しきれていない状況らしい。
と、思っていたら、やっと見つけた。
また、ふるさと納税での支援も受け付けている。
ありがたい。
我が県は米どころ。
そして、野菜なども県内産のものがスーパーに多くならぶ。
食料自給率が全国2位だそうだ。
その、広大な我が県の田畑が、今回大雨にやられてしまっている。
被害額は、聞いても気が遠くなる額としか言いようがないが、
それを生業にしている方々、そしてそれを食べる側の私たち。
今後、どうなっていくだろう。
米余ってるんだからいいだろ、とかいう意地悪な書き込みもみてしまったが、そういうことではない。
農家さん、守られるだろうか。
※土木被害に加え農業被害額も載っている。
また。
毎日、レッカーで車が運ばれていくのを目にする。
我が県は車社会。
電車やバスも年々本数が減るし、そもそも駅やバス停が近くにない地域もある。
仕事も必要な買い物も、基本的に車が必要だ。
今回の大雨で、住宅や店だけでなく、
その重要な生活の足である車が浸水し、乗れなくなってしまった方がたくさんいる。
あまりに台数が多く、レッカーでの移動などが間に合っていない。
”特別支援隊”と書かれた、県外から援助に来てくださったJAFの車が走っていたりする。感謝だなぁ。
また、県庁所在地のほかにも被害が大きかった町(断水するなど)があるが、
我が県出身のシンガーソングライター高橋優さんが訪れ、被災した場所で汗を流したそう。
※羅漢さんは、我が県出身のラッパー。
高橋優さんは我が県でのフェスも立ち上げ、多くのファンを秋田へ呼んでくれるなど影響力がある。
優さんを通じて、ふるさと納税をしましたなど、秋田の現状に思いを馳せてくれるファンの方の声もある。
前日まで東京でLIVEがあり、朝イチの飛行機で駆けつけてくれたようだ。
ありがとう、の気持ちでいっぱいだ。
災害による廃棄物の処理が追い付かず、我が市ではしばらく、古紙以外の資源ごみの回収が中止になった。
また、東北3大祭りのひとつである”竿燈まつり”が近づく中、
提灯やお囃子に使用する太鼓などが保管されている倉庫が浸水被害を受けた、という町内がある。
祭りは通常通り開催されることになっているが、各団体がその妙技を競うなどそこかける思いがあるだけに、どうか間に合ってほしいという気持ちで苦しくなる。
あの崩落した川沿いの大通りも関係するので、開催自体も、安全かどうかということもあるけれど、、、、、、
どうか、安全を最優先で、、、、、、
そして、災害にはこういうものがつきものかと思ったのが。
復旧作業中の空き巣被害や、混乱につけこんだ詐欺などが起こりやすいという。
弱みに付け込んでやろうというやり方は、本当に腹が立つ。
私が見た光景で、驚いたこと。
川沿いの住宅で、新築なのに1階部分が浸水してしまった若い夫婦+お子さんのご家族。
知人にヘルプを頼んだのか他にも若い方がいて、庭で家具の洗浄を行っていた。そこにお子さんもいた。
みんな、笑っていたのだ。
そこにいる方々が、笑顔だったのだ。
、、、、、、なぜ、笑顔なんだろう?
建てたばかりの家が、すぐに浸水被害に遭って。
必死の作業のはずなのに、まるで、庭の植物に水を撒くように、子どもと水遊びをするかのように、自然で。
みんなが、笑っていた。
どうしたら、こんなに明るくいられるのだろうか。
先のことを考えたりしたら、絶望的なメンタルになってもおかしくない。
それなのに、
ただ、目の前のことを、明るくこなしている。
どうしたら、こういうふうに生きられるだろう。
ひとは、どうしたらこういうふうに強くいられるのだろう。
なんだか、感動したような、自分が情けなく感じたような、、、、、、
私は、自分が無事であるのにまだ自分のことで精いっぱいで、何の助けにもならない。
こうやって、自分の見た、感じたことを書くだけでも、誰かのためにならないか、全国であまりとりあげられない災害のことを知ってもらえないか、
そんな気持ちでただただ書いてみた。
あとは、自分の記録。
忘れてはいけないと思うから。
これから、どんどんこの県には影響が出てくる。
農業だったり、経済面だったり。
気軽にできる支援があるとよいなと思うが、そういうものを立ち上げることもできない。
これを見てくださった方が、少しでもこの状況を知って関心を持っていただけると、うれしい限り、、、、、、
どうか、生活に困る方、心が疲れてしまう方が、少しでも早く支援を受けられますように。
みんなが、心穏やかに過ごせる日がきますように。