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hi3tika
存在しないうら君
私は小学校1.2年のころ、
「うら君の所いってくる」
と母に言い出かけることがよくありました。
うら君は、私の住んでる住宅街から大通りに出て
100mくらい進んだところにある歩道橋を過ぎてすぐの下り坂の脇の分譲地
に住んでいて、同級生ではなく5,6年生のお兄さんでした。
一度も事前に遊ぶ約束はしたことがないのに突然行っても、いつも優しく出
迎えてくれます。
小学校3、4年生になったころにはうら君と遊ぶことはなくなりました。
うら君も中学生になったので小学生の僕と遊んでもつまらないだろうという
のもあり、僕もうら君の家に行くことはなくなりました。
その後も、うら君の家の前を通るたびにうら君を思い出しては、
「うら君げんきかなぁ」
と呟いていました。
そんな僕も小学生を卒業し、中学生になったころ
ふと、うら君のことを思い出しました。
『うら君元気かなぁ』
「ん?・・・」
急に体中に鳥肌が立ったのを今でも覚えています。
というかこれを書いてる今も鳥肌立ちっぱなしです。
実は、うら君はこの世に存在しないんです。
全て幼いころ私の考えた設定だったのです。
なので顔も知らないし、声も知らない、
何をして遊んだのかも記憶にありません。
(設定ではファミコン)
うら君という名前も、
下り坂の脇を入った奥まったところに住んでいるから
裏→うら君
だったと思います。
いや、もしかしたら裏の世界から来たからうら君だったかも!!
なんて思いながら幼少期を回想する秋の夜長なのでした。