エア・ウォーター、自社の技術を生かしサーモン養殖...今秋から試験的に出荷予定 北海道東神楽町
エア・ウォーターが北海道東神楽町で、トラウトサーモン(ニジマス)の陸上養殖を行っています。養殖実験を通して知見を蓄積し、サーモン養殖を検討している水産業者や地方自治体などに養殖設備の提案と飼育サポートを含めたコーディネートをします。
なぜ内陸の東神楽でサーモン養殖? 水質の良さ、アクセスの良さ、自治体の対応などのメリット
大城優さん(エア・ウォーター)は北海道の内陸でトラウトサーモンの養殖を始めた理由について、以下の点をあげます。①地下水が豊富で質が良い②空港がある③東神楽町の迅速な対応
「北海道におけるサーモン養殖のモデルケースを目指す。東神楽町は旭川空港があり、アクセスが良い」
東神楽町の養殖施設の注目度は高いようです。視察に来るのは企業や地方自治体、漁業組合、議員など。「新規事業の模索をしたい」「養殖技術を学びたい」など訪れる理由もさまざまです。
倉庫内に大きな水槽が並ぶ 自社の技術を生かした装置で養殖
養殖施設の中に入るとすぐ目の前に、水槽には今年孵化した稚魚が泳いでいる水槽がありました。4月下旬に約5万粒の受精卵をこの水槽に入れ、ゴールデンウィーク開け頃からふ化が始まったと言います。
養殖場内を見回すと大きな水槽がずらり。直径7メートルの水槽と直径4メートルの水槽が、それぞれ4つずつあります。大きな水槽に圧倒されますが、紙谷麻里江さん(エア・ウォーター)は「従業員1人で通常管理ができるように作ってある」と話します。
また、2キロほどにまで成長したサーモンが泳ぐ水槽もあります。紙谷さんは「今年の秋には初出荷できそうだ」と期待しています。
そして、社名にもあるようにエア・ウォーターの事業の原点は「空気」と「水」です。自社の技術を生かした設備を活用し養殖を進めています。
写真①は空気から高濃度酸素を製造する装置です。作られた高濃度酸素が水槽に送られます。もともと呼吸器疾患のある患者が使用する医療機器を工業用に改良したものだと言います。
養殖期間の短縮目指す 出荷は今秋を予定
トラウトサーモンの屋外養殖では出荷までに3~4年ほどかかるとされていますが、エア・ウォーターの屋内陸上養殖では従来の養殖よりも短縮し、出荷を目指します。
また出荷前にサーモンを淡水から人工海水に移すことで、旨みをアップできることに加え生食も可能になります。この人工海水もグループ会社である日本海水が作ったものを使用しています。
自社の技術を生かした陸上養殖。今後の目標について紙谷さんは「空き倉庫への陸上養殖のシステム導入につなげたい」と語ります。
サーモンの出荷は今秋からの開始を予定。販売方法として、ふるさと納税の返礼品や地元の飲食店での提供を検討しています。
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