【チェックリスト付】スカウトを受け取った候補者がとる次の行動とは?候補者体験から逆算して考える採用担当やることリスト
スカウトを送ったけど返信がこない、送ったスカウトの開封率は高いけど応募につながらない、という悩みはありませんか?
採用イベント経由でのカジュアル面談が200人待ち、という企業がある一方、自社で採用イベントを実施しても集客がうまくいかない、「この人だ!」というひとを見つけてスカウトしたけど返事がこない、エージェントからの推薦もあがってこない・・という「母集団形成」のお悩みを抱える企業のほうが多いのではないでしょうか。
わたしの所属する採用市場研究所の母体は、株式会社ダイレクトソーシングという採用支援を行う会社です。名前の通り、ダイレクトソーシングに強みを持ちながら、スカウトを送るだけでは解決できない採用課題の解決のために採用ブランディングの戦略設計やコンサルティングといったサービスも行っています。
最近では、ダイレクトリクルーティングに関する候補者意識調査レポートを3編(大作!)を公開しました。
このnoteは、調査レポートから見えてきたスカウト開封後の候補者体験に着目しながら、「じゃぁ、採用担当者はなにを準備したらいいのか」についてをまとめたものです。
解説版じゃなくてレポートそのものがみたい!という方は簡単な登録だけでダウンロードしていただけます。(この記事の巻末にリンクを貼っています)
このnote自体は、レポートをご覧になっていなくてもわかるように心がけていますので気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
認知の獲得、興味関心ファネルへの移行のむずかしさ
採用における候補者体験をAIDMA(アイドマ)をはじめとするマーケティングのファネルに当てはめて表現することがよくあります。
体験の初期にあたる「認知」を獲得することの難しさ、そして「認知」を獲得した後の「興味関心」ファネルへの移行の難しさが、母集団形成のポイントです。
認知の獲得の方法については、さまざまなものがありますが、大きくわけて2つに分類されます。
会社、事業、ポジションにまつわる情報を発信し、複利的な効果を期待する採用広報と、スカウトやエージェントからの紹介という直接的なきっかけから認知につながるケースです。
スカウトがきっかけで「気になる存在」になる
まったく意識していなかったクラスメイトからラブレターをもらうと、ついつい気になる存在になってしまう。そんな効果が、スカウトメッセージにもあります。
今回は、スカウトを認知のきっかけとし、「興味関心」ファネルへどう移行していくのかを、調査レポートをもとに解説していきます。
スカウトを受け取った候補者の次のアクションとは
結論からいうと、スカウトの内容だけで返信する候補者は1%にとどまり、なんらかの外部情報を参考にしています。
スカウトを受け取った後の候補者の行動トップ5
スカウトで案内された求人の情報をみる(47.6%)
会社のホームページをみる(41.6%)
採用ページをみる(39.0%)
会社の口コミをみる(36.1%)
スカウト送り主のSNSをみる(24.9%)
調査レポートでは、年代別の集計も公開しています。
年代別にみると、20代、30代は、求人票等の基本情報の他に、スカウト送り主のSNSや、会社のブログ・SNSを参考にする割合が他世代に比べて高いことがわかりました。
特に30代をピックアップすると、スカウトを受け取った後の行動トップ5のうち、会社の口コミ、スカウト送り主のSNSの確認の順位が会社ホームページの閲覧よりも上位になっています。
スカウトで案内された求人の情報をみる(46.0%)
会社の口コミをみる(37.1%)
採用ページをみる(36.3%)
スカウト送り主のSNSをみる(35.5%)
会社のホームページをみる(33.1%)
【考察】30代候補者にみる、客観情報の重要性
このパートでは、レポートの内容をベースにわたしなりの考察を行っています。
30代の候補者が、会社の口コミ情報やスカウトの送り主のSNSの確認を重視するということは、客観情報を求めていると推察できます。
企業が練り上げて綺麗にラッピングした「メッセージ」を標榜するのが会社のホームページであれば、その「実態」を確認する場所が、外部口コミサイトであり、SNSで社員が発する小さな発言のひとつひとつから滲み出る日常です。
「ユーザーを大切にする」と掲げたホームページがあるのに、口コミサイトでは「ユーザー体験を犠牲にした売上重視の体質」と書かれていたら、候補者にとっては「実態は違うんだな」という印象になります。
これは客観情報の方が、信頼性が高いと判断される傾向にあるためです。
客観情報を意識的にとりにいく世代を候補者とするのなら、客観情報の重要性を無視することはできません。
自社が対外的にどのようにみられているのか、どのような情報をもとにその印象が流通しているのかを把握して、「実態」が流通している印象と異なるならば、それをどのように届けるかを企画していく必要があります。
次のセクションでは、30代の候補者がスカウトを受け取ったと想定して、必要となる企業側の準備について整理していきます。
【12問チェックリスト】候補者体験に合わせた準備
1.求人票の内容と動線確認
特定の求人票ではなくHRMOSなどの一覧ページへのリンクを送ることもありますが、候補者が「見つけやすい」状態で送られているかどうかも候補者体験(CX)の確認ポイントです。
2.口コミの把握と意図的なコントロールではない対策
外部の口コミサイトの内容を意図的にコントロールしようとすることはおすすめしません。「書かされた」という印象を社員に持たせてしまうことがあるからです。
口コミサイトの評判が「実態通りで悪い」のであれば、環境の改善を、「実態と異なる」のであれば、印象をどう改善していくかの施策を考えていく必要があります。
3.採用ページに掲載されている情報の内容、動線の確認
見慣れてしまうと気づきにくいのですが、実は情報が見つけづらくなっている、情報が散らばっているということがよくあります。
意識的に「初めてこのサイトにきたんだ」という気持ちで見直す、もしくは外部の意見を参考にすることもおすすめです。
4.スカウト送り主のSNSのプロフィール、発信内容の確認
SNSは運用にリスクも伴いますが、LinkedInやYoutrustといったビジネスSNS上でのスカウトであれば送り主のプロフィールを見に行くことは当然です。日常的な発信をしないにしてもプロフィールは充実させておく、違うSNSで発信をしているのであればリンクを置いておく等の対応はしておきましょう。
5.会社のホームページ記載の情報とその他の発信の整合性の確認
クライアントや株主に見せる顔と、従業員に見せる顔が違うということもあるかもしれません。その場合には、なぜあえてそれを意図して行っているのかが伝わらないと、ブランディングの毀損になりかねません。
とはいえ、スカウトの内容や書き方も大切
ここまでチェックしてきた内容は、スカウトを「読んだ」候補者の次のアクションに対応することを目的としていました。
「見た」と「読んだ」には、大きな違いがあります。
「読んでもらう」ためには、そのための工夫も必要です。
スカウトを受け取る相手は、どんな文章でも理解しようという気持ちを持って読み進めてくれるわけではありません。
難解な哲学書をあえて購入した、読了意欲の高い読み手ではないのです。
今回のレポートでは、候補者がスカウトをみるタイミングも調査しました。
ここから見てわかるように、「合間に読む」のが大半の受け取り手です。
読むことにストレスがかかる書き方や、理解にカロリーのかかる内容であれば、流し読みになったり、途中でメールを閉じることも当然起きるでしょう。
スカウトは「なぜあなたに送ったのか」をきちんと伝えることが大切だとよく言われます。
わたしは、それだけではないと思っています。
「なぜあなたに送ったのか」さえ書けば読んでもらえて、興味を持ってもらえるわけではありません。
その後に続く内容を、いかに表現するかも大切です。
読み手の「知っていること」「知らないこと」「知りたいこと」を想定して興味を惹くような工夫をすることが大切なのですが、これも意外と難しいこと。
このあたりは今後まとめていきたいなと思っています。
おわりに
企業が候補者の方に直接アプローチするスカウトは、メッセージだけを送れば効果がでるものではありません。
毎日大量のスカウトが送られてくるようになった時代に、スカウトメッセージの内容だけ見て「はい!貴社をうけます!」という候補者のかたは、ほとんどいらっしゃらないためです。
添付する求人票の書き直しや、企業ホームページで採用情報への動線がつながりやすくなっているか、そもそも企業の強みが言語化されているのか・・等々、スカウトサービスを起点に、周辺領域の課題解決を行ってきたわたしたちとしては、今回の調査レポートは納得の結果でした。
今回は調査レポートの一部を紹介してきましたが、レポートにはまだまだたくさんの調査内容が記載されています。
年代、年収別に集計した候補者の動きも見えますので、よかったらぜひダウンロードしてみてください。
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