読書メモ(2022.4.13)ー 竹田青嗣『現象学入門』(NHKブックス)Part1

第1章 現象学の基本問題

フッサールは、ブレンターノの「記述心理学」から現象学の基本概念である「志向性」の概念についてヒントを得た。

近代哲学における根本問題は<認識としての石ころ>と<対象としての石ころ>が同じだという保証がないこと。これらの一致を私たちは確かめることができない。

近代の科学は、仮説を立てて、一定の条件で実験を繰り返して一定の結果を得るという方法を採用した。この結果が<客観>である。近代の自然科学(実証主義)は、客観を正しく捉えられるという確信を打ち出した。

第2章 現象学的「還元」について

「諸原理の原理」=「原的に与える働きをする直観」とは、人がその判断が疑いえないという確信をもつこと源泉であり、この直観を認識の起源にするという意味ではない。これには2種類ある。

知覚直観・・・知覚が唯一、意識の自由にならないもの。したがって、自己ならざるものであるが故に、外側の存在を疑い得ないものとして確信する、根本的条件になる。

本質直観・・・「本質」を直接経験すること。サイコロは色々な材質や色で作られる場合があるが、「立方体」という「本質」は常に持ち続ける。これを看取するのが本質直観である。

フッサールは世界認識に対する問い方を変えた。多様な主観的解釈を、主観の内在において、誰でも確かめうる具体的経験として問う形に変更した。

実在物と理念物の違いは、知覚に結び付けられているかどうか。

知覚直観と本質直観が論じられるのは、我々は、主観の外側には出られないという前提で、それでも人は外部の実在を確信する根本条件を解き明かすためである。

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