練習は本番のように、本番は練習のように
根っからの文系人間である。
「理系」と聞く度に、
自分にとっては不得意であるゆえに、
尊敬とやっかみがないまぜとなった
気持ちが沸き起こる。
いつまでも、そんな苦手意識を
引きずっていても仕方ないと
最近では割り切っているが、
長らくそういう意識から逃れられ
なかった。
そんなわけで、
「はやぶさ2が帰還!」
のニュースが流れた際も、
なんか凄いことが起きたんだな~
とは感じたものの、
どう凄いのか、どの程度凄いのか、
全くもって分かっていなかった。
今年に入ってからだったろうか、
定期購読している『致知」に、
プロジェクトマネージャーとして
はやぶさ2の大成功を牽引した
津田さんのインタビュー記事が
あったので、拝読した。
下記は、その記事にある背景を
説明しているプロモーション的な
記事である。
津田さんが、インタビューで語っていた
中でとても印象に残っているのが、
とにかくしつこく、これでもか!
という位にシミュレーション
(リハーサル)を繰り返したということ。
わざと意地悪な、言い換えると過酷な
条件を用意し、シミュレーション時に
その条件を投入するというのだ。
「まさか?!」の上に、
更に「まさか?!」を上乗せして
いく感じ。
人生には三つの「さか」がある、
上り坂、下り坂、そして「まさか」だ、
という教訓を引用する人は多いが、
その「まさか」と思うような条件を
意図的に作り出して、チームが解決
できるかを練習するのだ。
その津田さんと一緒に、はやぶさ2の
プロジェクトに中枢で携わっていた
JAXAの山田哲哉准教授から、
ZOOM越しにお話を伺うことができる
貴重な機会を得た。
とても人なつこそうで、親しみのある
山田さんの口からは、宇宙の話なので
きっと難しくて理解できないことが
多いのだろうな、と恐れていたのに
反して、非常に分かりやすく今回の
プロジェクトの意義や、成功までの
道程を教えていただいた。
津田さんのことを「つだっち」と
呼んでいらして、チームがとても
和気あいあいと、かつ強固な信頼感で
お互い結ばれながら、この仕事に
取り組まれていたのだろうなぁと
いうことが伝わってくる。
そして、津田さんのインタビューと
全く同じように、いかにしつこい程の
リハーサルを繰り返したかを説明して
くださっていた。
その「しつこいリハーサル」こそが、
成功に間違いなく貢献したというのが
ヒシヒシと伝わってきたのである。
そのしつこさ、厳しさゆえに、
「本番が一番簡単だった」
と現場の方々が口にする程だった
ようだ。
そんな話を伺って、タイトルの
「練習は本番のように、
本番は練習のように」
という警句を思い出した次第だ。
本番さながらの緊張感で、
練習を続けていく。
手は一切抜かない。
そういう状況で鍛え上げることで、
いざ本番となった時に、
「平常心」で立ち向かえる。
本番であっても、
まるで練習しているときのような
気持ちで向き合い、
いつもの練習通りの結果を残せる。
「これは練習だから」
「これはリハーサルだから」
という甘えを持たず、
常にこれが本番、そういう意識を
持つことが、成功を引き寄せる
重要なカギとなる。
津田さんと山田さんのお話から、
そんなことを改めて強く感じた。
山田さんの講演を企画して
くださった、シックススターズ
コンサルティングの原田さんに、
改めて感謝申し上げたい。