顧客体験価値(CX)を競う
「顧客体験価値」
「Customer Experience」(CX)
「顧客」も「体験」も「価値」も、
一つひとつの言葉の意味は分かるが、
全部つながった時に何を意味するか、
パッと分かりにくいかもしれない。
近年マーケティングの世界では
頻繁に使われるようになってきた
この言葉。
お客様の視点を通して、
ブランドに関する様々な体験の全てを
総合的に価値判断/評価したもの、
そんな意味合いとなる。
機能的な価値だけでなく、
感情的な価値を含む、
というところがポイントだろうか。
ちょっと説明が硬いかもしれないので、
誤解を恐れず柔らかく意訳をするなら、
「ブランドとのお付き合いの中で、
どれだけ良い気分を味わえるか」
といったところ。
この顧客体験価値を、ランキング形式で
毎年発表しているのが、
ここでも何度か取り上げている
「Best Global Brands」でおなじみ
インターブランド社のグループ会社、
C Space Tokyoである。
今回で4回目になるという、
顧客体験価値ランキングのレポートは
下記である。
(ページへのリンクがうまく貼れないので、
報道資料PDFをそのまま貼り付けておく。)
前回は1年前だったと思っていたが、
半年ほど前の12月に発表されており、
ここでも取り上げていた。
この時のトップ3は、
1.星野リゾート
2.ワークマン
3.サントリー
という顔ぶれ。
今回は、
1.丸亀製麺(前回16位)
2.星野リゾート(前回1位)
3.ANA(前回7位)
という結果。
このランキングを出す上では、
レポートにもある通り、
「顧客が求める体験価値の5つの要素」
を独自の方法論で可視化、スコア化
しているとのこと。
その5つの要素は以下の通りだ。
【RELEVANCE】
私向けのものだと思える
商品に限らず、そのブランドのメッセージ
や企業の姿勢などが⾃分の考えや価値観と
合っているか
【EASE】
私にとって意味がある
たくさんの選択肢の中で、
⾃分がそのブランドを選ぶ意味や価値を
⽰してくれているか
【OPENNESS】
オープンで、正直である
きれいごとではなく、顧客と真摯に向き合い、
真に信頼できるブランドか
【EMPATHY】
私の⽴場で考えてくれる
⾃分を理解し、共感してくれているか
【EMOTIONAL REWARDS】
いい気分にさせてくれる
⾃分のことを⼤切に扱い、
気持ちよくさせてくれるか
全てを高いレベルで実現しよう!
となると、なかなかに大変である
ことは疑いない。
しかし、これを競い合うことから
逃げ回るわけにはいかない。
むしろ、その実現を嬉々として追求
する組織へと、自らを作り変えて
行くことこそが、これからの経営の
要となるだろう。
1位の丸亀製麺が評価を受けたポイント
として、定性的なコメントが二つほど
挙げられている。
打ちたて、茹でたてへのこだわり。
実際にキッチンでつくりたてである
ことが見えるプレゼンテーション。
そして、顧客が納得する味。
所詮ファストフードと侮るなかれ、
全国にそれだけ根強いファンが
存在するということだ。
今回、もう一つ気になったのが、
5位に入った味の素(前回9位)。
というのも、つい数日前に書いた
冷凍餃子のTwitter騒動でかなり
名を上げたことが、ここ2年の
高評価にも少なからず影響している
のではないかと思ったからだ。
味の素の「手抜きでなく手間抜き」
というメッセージが、
上記の5つの要素を全て網羅して
いるように思えるのは、
気のせいではあるまい。
ランキングに出て来るブランドたちが、
それぞれどんな要素で顧客から評価
されているか、自分の体験も踏まえて
考えてみると良いだろう。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。