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「世の中、教えすぎ」?!
昨日ご紹介した、立川談慶師匠の
『落語を知ったら、悩みが消えた』を
ほぼ読み終えました。
今日もこちらから一つ、興味深かった
内容を紹介させてください。
『長短』という落語があります。
あらましをまずはご紹介しましょう。
気長な「長さん」と気短な「短七」は、性格が真逆だが幼い頃から気の合う友人同士。
とはいえ、気長と気短で、その間合いが全く嚙み合いません。
長さんが、煙草を吸おうとしたところ、火が点かなかったり、やっと点いても吸い方がのろい。
イライラした短七が、長さんに吸い方の見本を見せようとします。
その時、火玉が袖口からスポッと中に入ってしまいました。
すぐにそれを教えればよいところ、短気な短七に怒られるのが怖くて、長さんはなかなかハッキリ言えずにいます。
お互いもどかしい会話を経てようやく、「怒らないなら言うけど」と前置きしつつ、恐る恐る「さっき火玉が袖から入って燃えだしている」ことを教えてあげました。
袖に穴が開いてしまった短七としては、「バカ野郎!何で早く教えてくれねえんだ!」と長さんに文句を言います。
それを受けて長さん曰く、「ほおらみろ、そんなに怒るじゃねえか、だから教えねえほうがよかった」とのたまうのでした。
このオチである
「教えねえほうがよかった」は、
立川談志師匠が惚れ込んだ名言中の名言!
とのことです。
世の中、教えすぎなんだよ。教えないほうがいいんだよ
とは、談志師匠が口ぐせのように
よく言っていた言葉だそうです。
「教える」というのは、実に難しい。
一から十まで、手取り足取り教えて
しまったら、実は本人のためにならない
というのは、皆さんご自身にも実感や
経験があるのではないでしょうか。
結局、自分自身が学びたい、覚えたい、
モノにしたい、そのように意識的に
取り組むことによってこそ、頭の中に
新しい知識や知恵が定着するのであり、
「教わる」だけでは大抵の場合上手く
いかないのです。
「リーダーシップ」は教えられるか?
そんな話もよく取り沙汰されますよね。
そもそもそれは、
人に教えられるものなのでしょうか?
人に教えようとした時点で、
本来的な「リーダーシップ」ではなく
なってしまう気がしませんか?
昔ながらの「師弟関係」に見られる
ような、師匠は全く教えずに、弟子に
技を盗ませるというやり方が正しいかと
言われると、それはそれで非効率的な
面もあるような気がします。
しかし、弟子の側に自ら学び取ろうと
する意欲、気概がない限りは、
結局のところ大成するのは難しい、
というのは真理なのでしょう。
教える立場の人間も、
教わる立場の人間も、
この真理をよくよく頭の中に入れ、
理解し、反芻しておくべきだと
思うところです。
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