見出し画像

お高い価格でも売れる理由

半年ほど前だったろうか。
自分が住んでいるマンションの
エレベーターに、写真にある
「エレベーターチェア」
なるものがお目見えした。
タイトルの上にあるのは、
エレベーターの壁に貼ってある
ステッカーで、実際のチェアは
こんな感じである。

画像1

なぜこんなものが設置されたのか?
目的は大きく分けて2つあるようだ。

1つは、単純にご老人などが腰掛ける
ことができたり、荷物置きとして
利用する
というもの。
わずか5階建てのマンションなので、
ほとんど使う人はいないだろうとは
思うが・・・

もう1つ、こちらが本来の目的のよう
だが、災害時などエレベーターが
止まってしまった際の「閉じ込め」
対策
である。
急な地震などで、エレベーターが
止まってしまい、ドアが開かない
ような非常事態の際に、救出される
までの間、
・非常用の飲料水が入っている
・非常用の簡易トイレが備えてある
・除菌ティッシュやライトもある
ということで、一時しのぎを可能と
するサバイバルキット
なのだ。

ググってみたら、Amazonで販売されて
いる同じ仕様と思しきものを発見。

何と82,500円?!
高い、いくら何でも高すぎるだろう。
そんな所感を持ったのであるが、
これでも買い手がいるということ。
つまり、お客様がそれだけの価値を
見い出しているということだ。

あくまでも個人的な仮説でしかないが、
なぜこのような高い価格での販売が
成り立つのか

いくつか理由を挙げてみよう。

まず、防災用品だから単価が高くても
売れる、ということ。
「いざという時の備え」と言われると
人は弱い。

日本人は保険が大好き、そんな国民性
もあるのかもしれない。
非常に具体的なリスク(閉じ込め)が
あり、そのための対策には、多少の
高単価も比較的許容されやすいという
ことが考えられる。

とはいっても、いざ買うとなったら
安い方に流れるのが人情である。
しかし、あえて少々高いものを買おう
という誘因が働くこともある。

このチェアが使われるのは、比較的
大規模なマンションであろう。
導入を決めるには、恐らく管理組合
とか理事会のような組織が主体と
なって、予算執行の決議を経ている
はずだ。
このような場合、経験したことのある
人は分かると思うが、極めて無難な
意思決定に落ち着く傾向
がある。
あまりに安いと、品質に問題がある
のではないかと疑われ、それなりに
名の通ったブランドとか、実績のある
メーカーのものが選ばれやすい。

そうなると、自ずと価格も高い方へと
流れることになるのだ。

もう一つ挙げるとするならば、
この商品は「一台数役」をこなす
非常にユニークな商材
だという点。
・いす
・荷物置き
・非常用トイレ
・非常用飲料水
・非常用お手拭き
・非常用ライト
などがオールインワンである。
一つひとつをバラバラに集めて、
最終的にこの商品のような形に
準備するのは、かなりの手間が
かかるのは間違いない。
その手間を省くという価値をも
含めての商品だからこそ、
それなりの価格なのだと言える
のである。

これら仮説のうち、単一でどれかが
効いているというよりは、恐らくは
複合的に作用している
のだろう。
いずれにしても、自分の商品に
高い価格を付けたい人にとって、
意外と多くのヒントが詰まっている
と評価できそうだ。

いいなと思ったら応援しよう!

ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。