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サイゼリヤの「客数最優先」戦略
月刊『致知』を読み始めて、
もう10年くらい経つ気がします。
時折ここでも、記事内容を紹介して
きました。
46年前に創刊したその『致知』の
社長を務めるのは、藤尾秀昭さん。
その藤尾さんが監修した体で、
かつて『致知』に掲載された珠玉の
インタビューを厳選した本が、
『一生学べる仕事力大全』です。
この中に、サイゼリヤ創業者である
正垣泰彦会長の記事も出てきます。
今日はその正垣さんの下記の言葉を
取り上げさせてください。
自分のためじゃなくて、俺はお客さんに喜んでもらうために、役に立つために店をやっているんだということが見えてきました。それで「人のため、正しく、仲良く」という基本理念をつくったんです。
「人のため」とは、お客さんに喜んでいただくためということです。お客さんに喜んでもらえているかをどうやって計るのかといえば、お客さんの数が増えることだと捉え、客数を増やすことを最優先にしようと。
この、「客数最優先」という考えは、
マーケティング戦略の観点から言って
大変理に適っていることが証明されて
います。
というのも、
これまた何度もここで取り上げてきた、
バイロン・シャープのブランド論で
語られている内容にピッタリ当てはまる
のですよね。
エビデンス・ベースド・マーケティングの
はしりとも評価される本書の中で、
彼は概略以下のような内容を述べています。
ブランド成長の鍵は「客数の最大化」と「購入頻度の最大化」にある。
ブランドの成長は、忠誠心の高い顧客ではなく、ライトユーザーの獲得によりもたらされるものであり、広範な認知(メンタル・アベイラビリティ)と広範な流通(フィジカル・アベイラビリティ)が重要である。
市場に広くリーチし、認識されやすい一貫したブランド要素(特徴的なブランド資産)を持つことが、成長のカギとなる。
お客様の数、別の言い方をするならば
「購入率」を最大化することで、
ブランドは成長を謳歌することが可能
となるという主張は、サイゼリヤの
とった方針と全く同じですよね。
サイゼリヤの凄さについては、
別の側面から何度かここでも記事に
してきました。
彼らの真の凄さは、
日々の絶え間ないPDCAサイクルを
通じて、マーケティングの世界的な
権威による最新の理論を既に一足先に
実践していた点にあると言っても
良いかもしれません。
愚直に「客数最大化」を追い求めて
きたことが、見事に成果に結び付いて
いるサイゼリヤ。
正しい戦略に沿って運営されている
ことは間違いないと思われ、
まだまだ成長し続けるでしょう。
何だか急に、「ミラノ風ドリア」を
食べたくなってきました。
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