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『人類はどこで間違えたのか』

なかなか挑発的なタイトルですよね。
これは、最近読んだ書籍のタイトル
でして、JT生命誌研究館名誉館長
中村桂子さんが書かれた本です。

日曜日の読書会で読み進めている
『サピエンス全史』とテーマがかぶり、
ビジネスブックマラソンの土井さんが
その視点・視野に関してかなり高く評価

されていたのを目にしたため、入手した
一冊でした。

人類の歴史を、非常にマクロな視点で
振り返っている
点が『サピエンス全史』と
共通するところですが、特に本書の肝と
なっているのが、こちらのウェブサイトで
紹介されている「生命誌絵巻」であると
言えるでしょう。

これは、扇のかなめ(図の一番下)が
原初の単細胞生物
から始まり、
上に向かって徐々に複雑さを獲得しつつ、
扇の弧を描くような形で色々な方向に
進化をしていった
ことを表しています。

ヒト(ホモサピエンス)も左上の端に
存在しており、生きとし生けるものは
全て我々の仲間
なのだということをも
表現しているわけですね。

ダーウィンの「進化の木」に似ていますが、
それよりも更に分かりやすく、そして何より
美しい
のです。
それでいて、生きものの進化というものを
網羅的に捉えている、秀逸な表現
に感銘を
受けました。

この本の帯には、以下のような言葉が
所狭しと並んでいます。

20万年にわたる人類史の岐路のいま
40億年の生命誌から生き方を問い直す
ヒントは「土」!
レジェンド研究者の集大成

(以下のキーワードたちも散りばめられているのですが、これは「人類史の岐路」を指す具体例だと思われます)
格差 気候変動 パンデミック 戦争

この帯にあり、「絵巻」にもなっている
「40億年の生命誌」というのが、本書の
最重要キーワードでしょう。

中村さんは「生命誌的世界観」を持って
生きている、そのようにおっしゃいます。
科学技術文明が発達して来た中で、人間を
機械のように捉える「機械論的世界観」
幅を利かしていますが、人類が目指すべき
本質的なアプローチは、人もまた生きもの
であるという事実から出発すること
だと
いう確固たる信念を説いていらっしゃる、
そのように理解しました。

内容について、詳細な紹介は省きますが、
個人的には少し回りくどいというか、
文体が肌に合わないというか、
少々読みづらさを感じたというのが
正直な感想です。

「おわりに」の中で、「トイビト」に毎月
書いていた連載が始まり
だとあったので、
独立した毎月の記事をつなげたときに
回りくどさが生じざるを得なかったの
であろうと推測しました。

また、ハラリの『サピエンス全史』
何度も引き合いに出していますが、
特に第1部と第2部については、
ハラリの方がより突っ込んだ内容を
語っていて、読み応えがあった
ことを
正直にお伝えしておきます。

但し、第3部の「土」に関する記述に
関しては、不耕起栽培の話や、ミミズへの
注目、宮沢賢治の世界観へと話が広がり、
なかなか読み応えがありました。

タイトルにある問い、
「人類はどこで間違えたのか」を、
本書を読み通した上で改めて
自分の頭でトコトン考えてみる
ことは、
非常に有意義でしょう。


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ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。