商品開発の新しいカタチ
アメリカで最近勢いのあるコスメ
ブランドと言えば、真っ先に
上がるのがGlossier。
「グロシエ」とか「グロシア」と
読む。
いわゆる「ユニコーン」企業として
の基準となる時価総額10億ドル、
約1,000億円以上を達成したスタート
アップであり、押しも押されぬ人気
となった注目のブランドとして様々な
メディアでも取り上げられている。
自分たちのことを端的に表現する
一行の説明には、
「スキンケアと美容商品」
とある後に、
「リアルな生活に触発された」
との言葉が続く。
サイトを見てもらうと分かる通り、
スーパーモデルとか、芸能人などの
いわゆる「セレブ」が商品を使って
いるのではなく、極々ありふれた
感じの、その辺にいそうな女性が
商品を試している映像、画像が
サイトに用いられている。
白人も、黒人も、アジア系も出て
来るし、毛穴が丸見えだったり
ほくろが沢山あったり、、、
これが「リアルな生活」の意味する
ところだろう。
つまり、色々隠し立てしたり、
きれいに見せようと小細工をする
のではなく、「ありのまま」を
見せていこうということだ。
地に足が付いているというか、
リアルな消費者により近づいて
寄り添う姿勢を見せているとでも
言おうか。
こういった姿勢を取るブランドが
最近増えているのに気付いている
人も多いかもしれない。
ユニリーバのDoveが、
「リアルビューティー」
という名のキャンペーンを展開
してきたことは、このトレンドに
かなり早い段階で気付き、それに
いち早く乗るというよりもむしろ
それを先導してきたと言っても
良いだろう。
WWDというファッション・コスメ
業界では知らぬ者のいない雑誌が
ある。
Glossierでググったところ、そのWWD
の連載記事で、彼らがどういう背景
でビジネスを立ち上げて一躍時代の
スターになったのかを、コンパクトに
まとめてくれているコラムがあった
ので、紹介しておく。
この記事にも出て来るのだが、
Glossierの出自がとてもユニークで
かつ「いまどき」だ。
創業者のエミリー・ワイズは、
元々ファッション系の仕事をして
おり、個人のブログで化粧品や
お肌のお手入れなどについての
記事をアップしていた。
その内容が、例えばセレブのバス
ルームにずかずかと入っていき、
その様子を写真付きで書くなどの
かなり尖ったもので、これが読者の
琴線に触れた。
1000万PV/月を超えるようになって、
その頃から彼女は商品開発の方にも
手を出すようになったとのこと。
その商品開発なのだが、SNSの
フォロワーをフル活用している。
FacebookやInstagramのフォロワーを
Slackに招待し、そこでかなり具体的に
フィードバックを得て、直接商品の
開発に生かしているというのだ。
Instagramのトップページにある、
ブランドの自己紹介には、こうある。
Glossier Inc. is a people-powered beauty ecosystem ✨
(グロシエはお客様の力から成る美のエコシステム)
「お客様ファースト」宣言と言っても
いい。
正にマーケティングの見本と言いたく
なるような潔さだ。
お客様からフィードバックをもらい
商品開発するというのは、従来も
極々当たり前のことであったが、
あくまで開発のプロセス初期に、
グループインタビューとか1対1の
インタビュー調査をして、ニーズ
を聞き取ったりすることが一般的
とされた時代が長かった。
そんな時代はとうの昔に過ぎ去り、
ネットがどんどん発達してきた中で
もっと手軽に、素早く、直接的に
消費者からフィードバックを得る
ことができる今、その手軽さや
スピードをフルに活用する企業が
出て来るのは時代の必然。
まだ日本に進出する話は聞こえて
こないが、黒船上陸が先か、他の
会社が先行して彼らのモデルを
日本で実現・成功させるのか、
気になっているところである。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。