良い思い込み、悪い思い込み
一瞬「未来都市?!」と思うような
威容に驚いた。
よーく見ると、単なるマンションの
修繕なのだが、真っ黒な色に包まれて
なかなか迫力がある。
マンションの修繕を行うにあたっては、
建物の周りに足場を組んで、
そこに養生シートを張り巡らす。
これまで、白っぽい色のシートしか
見た記憶がないのだが、最近では
真っ黒のシートがかなり増えている
ようだ。
こちらのサイトにあった説明を読むと、
どうも白いシートよりも黒いシートの
方が、透過性が高いそうだ。
素人的には、黒いと見通しが悪くなり
そうに思えるもの。
しかし、事実はさにあらず。
外から中を見えにくくする効果があり、
内からは外を見やすいというのだ。
きっと、最初は誰もが何の疑いもなく
「シートは白いもの」
「白い方が透過性が高いだろう」
という前提で、白いシートのみが
市場に流通していたのではないかと
推測する。
誰かが、どこかのタイミングで、
「黒くしてみたらどうなるか?」
というアイデアを思いつき、
それを実行に移したわけだ。
最初にこれを考えた人、
いわゆる「言い出しっぺ」は、
相当勇気が必要だったのではないか。
その提案をOKした上役もまた、
なかなか肝が据わっていると
言えるかもしれない。
この手の「思い込み」というのは、
色々なところで見られる。
もちろん、マーケティングの仕事を
していても、かなりの確率で遭遇
する。
「男性/女性はこちらを好むはず」
「若者/老人はこちらを選ぶはず」
「学生/社会人はこちらが人気のはず」
お客様のデモグラ(統計上の属性)を
見ると、半自動的に「レッテル」貼りが
始まる。
この「レッテル」こそが「思い込み」の
カタマリだ。
と、ここまで考えて、ふと思う。
「レッテル」とは「ラベル」であり
「記号」だ。
つまりは「目印」である。
「目印」ということは、「ブランド」と
共通している。
そう、「ブランド」=「思い込み」では
ないか、ということを改めて認識するに
至ったのである。
昨日、主催しているマーケティングの
セミナーで「ブランド」の話を丁度する
機会があり、「ブランド」とは「目印」
であるということを語ったばかり。
口悪く表現するならば、
「ブランド」というのは、お客様の
「思い込み」であり、
「ブランディング」というのは、
お客様に売り手の都合の良い考えを
「思い込ませる」ことだと表現できる
ことになる。
とはいえ、である。
お客様だってバカではない。
いや、バカどころではない、天才、
あるいは神様だと言って良い。
偽物で一時的には騙せるかもしれないが、
中長期的には必ずしっぽが出て、誰かに
気付かれてしまうものだ。
結局のところ、「ブランド」や
「ブランディング」には、
「正しい意図」
「正しい思い」
が欠かせないのではないか。
そして、その「正しい意図/思い」を、
お客様の心に「込めて」差し上げる、
それこそが成功するブランディングに
つながるのではないか。
「思い込み」にも良いものと悪いものが
あるのは、意識しておきたい。
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。