有料顧客は優良顧客
愛用していたキーホルダーが、
経年劣化でボロボロになって
しまった。
ランニングの際に、腰に巻いている
ポーチの中に入れておくのだが、
この時にかなり汗で濡れてしまう
ようで、ラバー素材のホルダーが
ヘタってしまったのだ。
汗や水に強く、そして軽く、
リーズナブルで見栄えも良い。
そんなキーホルダーがどこかに
ないかしら・・・ということで
探していた折に、たまたま入った
モンベルでお気に入りを発見。
会計の際に、「モンベルクラブ」への
入会を軽く勧められたが、
有料だとのこと。
この先そんなに頻繁に買い物を
するイメージがなかったので、
即座に断って、キーホルダーのみ
手に入れた。
この一度の買い物で、少しばかり
アンテナが立ったのだろうか。
改めて、モンベルというブランドの
偉大さ、素晴らしさを、
チラホラと目にしたり、耳にしたり
ということが続いた。
辰野勇会長が創業したモンベル。
辰野氏は当時最年少でヨーロッパの
アイガー北壁を制したクライマー。
クライミングスクールを開業し、
その後モンベルを創業された。
1975年創業なので、間もなく50年を
迎えようとしている。
長らく続いているアウトドアブームを
牽引する存在だ。
先に触れた「モンベルクラブ」は、
いわゆるポイントカードを軸にした
会員プログラムである。
年会費1,500円を支払う必要がある
のだが、何と会員数100万人を達成
したのだという。
ポイントが軸とは言いつつ、
会員へのサービス内容がかなり豊富
であることが、多くの人を惹きつけて
いる理由のようだ。
会報誌「OUTWARD」の送付、
全国の提携施設での優待サービス、
会員限定イベントの開催、
独自の基金制度への還元などなど、
ただ単にポイント還元を実施して
顧客をつなぎとめようとする
レベルを超えた、充実した内容
なのである。
有料で会員になってもらうことは、
最初のハードルを極めて高く設定
することに他ならない。
しかし、提供する商品やサービス、
そしてブランドの理念に共感して
もらい、その最初のハードルを
超えてさえもらえたら、それこそ
生涯を通じてお付き合いいただける
優良顧客/ファンとなる可能性が
高い。
辰野氏は、長期的な視野でモンベルを
存続させていくために、
・商品力
・社会における会社の存在意義
・経済力(利益)
これら3つのバランスを取り続ける
ことが重要だと説く。
これは、いわゆる「三方よし」の
言い換えと捉えることも可能だ。
・経済力が、売り手よし
・商品力は、買い手よし
・会社の存在意義は、世間よし
ということである。
こうしたブランドの主張を、
堂々と、根気よく、お客様や社会に
発信し続け、
更には商品やサービスの品質を維持、
向上し続けることが重要だ。
これは、登山をするにあたっては
性急にコトを進めるのではなく、
コツコツと着実に前進することが
大切であることと共通している。
お客様と共に、一歩一歩着実に
前進していこうとするブランドの
スタンスが、辰野会長のメッセージや
「モンベルクラブ」のあり方にも
表れていると言えそうだ。